2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792500
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
石川 恵生 山形大学, 医学部, その他 (00466640)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 歯科医師 / 遺伝毒性試験 / コメットアッセイ / 作業環境 / 作業環境管理 / ホルマリン / 小核試験 |
Research Abstract |
歯科医師の歯科治療に伴う飛散粉塵や有機溶剤による環境衛生学的問題が古くから指摘されている。特に義歯やクラウンなどの補綴物等に使用されるコバルトやクロムなどの金属や、根管治療薬であるホルムアルデヒド製剤などは、肺がんなど各種がんのリスクであることがすでに多く報告され広く知られている。このような状況下にあるも日本では歯科医師の歯科治療に伴う健康影響についてはほとんど調査されていない。特に遺伝毒性影響という観点から調査した報告は日本では皆無である。遺伝毒性影響とは、微細な染色体の障害を検出し、変異原性、がん原性を示す生物学的影響である。本研究では歯科医師の遺伝毒性影響を、鼻腔粘膜および末梢血液中のリンパ球を用いた遺伝毒性試験を行うことで評価した。遺伝毒性は小核試験および、コメットアッセイを行った。また遺伝毒性影響を引き起こすと考えられる暴露マーカーとして、血液中、尿中のクロム、コバルト、ニッケル濃度を測定した。また対象者の胸元に勤務時間中に装着したパッシブサンプラーに吸着したホルマリン濃度も測定した。さらに生活習慣、食事習慣、作業環境および作業環境管理に関する自記式質問表調査を行った。現在歯科医師約15名の試料採取が終了したため、今後は更に調査数を増やし、また対照群として事務系職員の遺伝毒性試験も行う予定である。そして歯科医師の遺伝毒性影響について、各種曝露マーカーとの関連、作業環境・作業環境管理との関連について解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
震災により、もともと所有していた顕微鏡・冷却機などの物品が故障したため、修理・購入しなければならなくなった。また震災による停電により、冷凍保存していた試薬が解けて使用することができなくなってしまった。これらにより当初は科研費の交付内定をいただいてからすぐ調査が行えるはずであったが、遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は調査対象を増やして解析を行う予定である。具体的には歯科医師60名および事務系職員75名程度と考えている。当初は遺伝毒性試験として小核試験のみを行う予定であったが、小核試験とともにコメットアッセイも行う予定である。コメットアッセイは、小核試験同様に産業衛生学的に広く用いられている遺伝毒性試験である。小核試験とコメットアッセイでは染色体障害の評価機序が異なるため、歯科医師の遺伝毒性影響について多角的に評価できるものと考える
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に実験に用いる試薬購入に用いる予定である。また試料採取を行うにあたり、県外の歯科医院から採取する必要性が生じた場合は、旅費としても使用する予定である。研究結果の発表として、学会発表を予定している。それらに必要な旅費にも研究費をあてる予定である。
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