2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792505
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
谷口 裕重 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80529636)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / アメリカ合衆国 / 摂食・嚥下障害学 |
Research Abstract |
本年度は,健常若年者を対象として,物性や一口量を変えた食品摂取時の咀嚼・嚥下動態や咀嚼過程で形成される食塊の物性を測定し,嚥下惹起にこれらの要素がどのように関わるかについて検討した.生体記録として表面筋電図,口腔内圧・咽頭圧,嚥下内視鏡,嚥下造影検査を選択し,食塊の物性測定にはクリープメータを用いた.被験食には過去の申請者らの実験によって得られたレシピに従い,味や匂いに影響を極力与えないよう配慮した食品(餅,米飯)を使用した.咀嚼前および咀嚼開始後から嚥下直前までの時間内のいずれかで験者の合図とともに口腔内の食塊を吐き出すように指示し,取り出された食塊の物性値を直ちにクリープメータにて測定した.また,その間の咀嚼・嚥下運動の画像・生体信号を食品条件間で比較した.その結果,咀嚼過程の違いがみられたのは咀嚼過程における1回目の嚥下までであって, 2回目以降の咀嚼時間や咀嚼回数には大きな違いが認められなかった.さらに被験者内では同じ食品摂取時の摂食動態の再現性は高かった.このことは,一口量が調整された食品の摂取においては,1回目の嚥下が惹起されるまでの間に嚥下に適した食塊が形成されていることを示唆している.次年度は,咀嚼過程における食品物性の変化を食品間で比較するとともに,サンプル数を増やすのみならず,高齢者のデータ採取を進めていく予定である.また,本研究の成果を日本顎口腔機能学会,米国で開催されるDysphagia Rehabilitation Societyにて発表し,国際誌への論文投稿を予定する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度得られた健常被験者のデータをJournal of texture studies誌に投稿した(査読中).次年度はさらなるデータの構築と成果発表,論文投稿まで行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は健常被験者のデータを増やすとともに,対象を65歳以上の高齢者として,同様に咀嚼・嚥下動態を計測する.高齢者の問題点として,実験時に験者が与える多くの指示理解が困難であることが考えられるが,本研究では,あくまで自由咀嚼・嚥下を対象とした実験を行うため,記録に際して問題はないと思われる.記録装置のセッティング,被検食の選定,記録,咀嚼途中の食塊評価は平成23年度と同様とする.解析も平成23年度と同様に進めていくが,解析により若年者と同様に初回嚥下時以降の咀嚼・嚥下動態が同じである食品を選定する際に年齢による違いが認められるかどうかを明らかにする.また,食品,個人内,個人間の再現性についても年齢の違いが結果に反映されるかどうかを検討する.平成24年度に得られたデータをまとめた後に,日本顎口腔機能学会,日本摂食・嚥下リハビリテーション学会,米国で開催されるDysphagia Rehabilitation Societyにて成果発表を行う.さらに,高齢者を対象としたデータをまとめて,国際誌への論文投稿を予定する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も引き続き,電極,電極用消耗品(シール,糊),内視鏡薬液,データ記録媒体,被検食等の消耗品へ研究費の使用を予定する我々は、これまで研究成果を国内のみならず国際学会で発表し,他の研究グループとの議論を深め研究のさらなる発展をめざしてきた.本研究でも成果発表にかかる国内外の旅費として使用する.これらの旅費は、本学の国内および国外旅費申請基準をふまえて積算している.具体的には日本顎口腔機能学会,米国で開催されるDysphagia Rehabilitation Societyにて成果発表を行う.さらに,本研究結果を英文論文として発表するための英語論文校閲費,別刷費,投稿費として使用を予定している.
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