2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23792511
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉仲 正記 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40403034)
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Keywords | 高齢者 / 味覚 / 認知機能 |
Research Abstract |
「美味しく食べる」ということを通して、健康長寿およびQOLに大きく関わっている。この「美味しく食べる」ということには様々な要因が関与しており、その中でも、味覚は重要な因子の一つであると考えられる。味覚には様々な因子が複雑に関わっていると考えられるため、味覚に関連する因子を明らかとすることを目的とし、認知機能との関連を検討した。 対象者は住民基本台帳より抽出した兵庫県伊丹市・朝来市および東京都板橋区・奥多摩郡在住の高齢者のうち、研究の趣旨に同意の得られたもの70歳1000名、80歳995名とした。 調査項目は、歯科的評価は残存歯数、義歯使用の有無、歯周ポケット深さ、刺激時唾液分泌量を評価した。栄養学的評価は、BDHQという食事歴法質問票を用いて、ショ糖、食塩、鉄、亜鉛、アルコール摂取重量について評価した。医学的評価は血圧、空腹時血糖値、HbA1Cを測定し、評価した。既往歴として高血圧症、糖尿病の有無および喫煙習慣、飲酒習慣を聴取した。認知機能の評価として、軽度の認知機能障害を検出する検査であるMoCA-Jを用い、評価した。味覚の検査は四基本味(甘味、酸味、塩味、苦味)に対して4段階に調整された溶液各1mlを濃度の低い物から順に口腔内に含ませる全口腔法を用いて評価した。すなわち正しく味質を認識した時点での閾値をその基本味の味覚閾値とした。 80歳高齢者群は70歳高齢者群に比べ全ての味覚において味覚閾値が有意に高かった。また、甘味以外において男性群、喫煙習慣、飲酒習慣のある群、義歯使用群は、有意に味覚閾値が高かった。さらに残存歯数、鉄、認知機能は味覚閾値と負の相関を、ショ糖摂取重量と唾液分泌量は味覚閾値と正の相関を示した。 味覚閾値を目的変数とした順序ロジスティック回帰分析を行った。その結果、年齢、性別、残存歯数、ショ糖摂取量、認知機能は独立して味覚と有意な関連を認めた。
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