2012 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下機能維持増進プロジェクト-嚥下機能低下を予防する-
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23792522
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
大久保 真衣 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60385218)
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Keywords | 舌運動 / 超音波 / 高齢者 / 発音 |
Research Abstract |
目的:高齢者の口腔機能を維持・増進するために、介護予防事業の一つとして口腔機能の向上が取り入れらている。この口腔機能を評価する項目の一つとして、オーラル・ディアドコキネシスが用いられる事が多い。これは音節の交互反復運動を早く行わせて、口唇や舌の随意運動機能を評価するものである。音節としては、/pa/、/ta/、/ka/が用いられる事が多い。中でも/ta/の運動は、舌前方部を口蓋に接触させたり、離したりする運動の巧緻性が必要になる。そこで我々は、超音波診断装置を用いて、高齢者と若年者における、/ta/発音時の舌前方部上下運動距離と/ta/発音時最上部と安静時の距離の違いを検討した。 方法:被験者は、健康女性若年者5名(平均年齢28.2歳)と要介護ではない女性高齢者8名(平均年齢74.5歳)とした。オーラル・ディアドコキネシスを用いて平均回数を音節反復速度として測定した。また超音波診断装置を用いて、/ta/の上下運動の平均距離を舌運動距離とした。また/ta/発音時の最上部と安静時舌背面の距離を測定した。 結果:/ta/発音時の1秒あたりの回数は、若年者で平均7.16±0.8回、高齢者で平均6.2±0.61回であり、有意差が認められた。また上下運動距離は、若年者で平均0.31±0.05cm、高齢者で平均0.81±0.28cmであり、有意差が認められた。/ta/発音時の最上部と安静時舌背面の距離は、若年者で平均0.1±0.05cm、高齢者で平均0.38±0.28cmであり、有意差が認められた。 考察:発音時の移動距離が長く、低位からの前方部の上下運動は、高齢者にかなりの負荷となっており、オーラル・ディアドコキネシスの回数に低下の原因の一つと考える。今後、舌運動と関係のある発音を増やし、更なる検討を行っていきたいと考える。
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