2012 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞由来のサイトカインと遊離脂肪酸が歯周病の病態形成に及ぼす影響の解明
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23792523
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
神尾 宜昌 日本大学, 歯学部, 助教 (60546472)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 歯周病 / アディポカイン |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームは歯周病との関連性が疫学研究により指摘されているものの、その関連性を細胞生物学的に調べた報告は少なく不明な点が多い。メタボリックシンドロームの病態は、細胞生物学的には、肥満に伴う内臓脂肪細胞から分泌される「様々な種類の生理活性物質(アディポカイン)の分泌異常」と「遊離脂肪酸の過剰放出」を特徴とする。そこで本研究では、アディポカインと遊離脂肪酸が歯周病の初期段階における炎症性の破壊および進行期における歯槽骨吸収に及ぼす影響を検討し、メタボリックシンドロームが歯周病を増悪させる分子機構を細胞生物学的に解明することを目的とする。 本年度は、アディポカインの一種であるvaspinに注目し、破骨細胞の分化に及ぼす影響について検討した。破骨細胞の前駆細胞であるマウスマクロファージ様細胞株 (RAW264.7 細胞) とプライマリー細胞であるマウス骨髄由来マクロファージをRANKL存在下でvaspin刺激を行い、TRAP染色により破骨細胞への分化状態を検討した。その結果、vaspin刺激により破骨細胞分化が抑制された。さらに、破骨細胞分化に必須で自己増幅する転写因子NFATc1のタンパク質発現状態を調べたところ、タンパク質発現がvaspin刺激により抑制された。また、破骨細胞が骨吸収する際に働くタンパク質である、cathepsin KとMMP-9のRAW 264.7 細胞における発現状態をウエスタンブロットにて調べた。その結果、RANKL刺激によるcathepsin KとMMP-9の発現がvaspinにより抑制された。以上の結果より、vaspinは破骨細胞への分化およびその機能を抑制する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)