2011 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアDNA多型による混合斑痕試料からの個人識別方法の確立
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23792524
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸山 澄 日本大学, 歯学部, 助教 (30366190)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 個人識別 / 混合試料 |
Research Abstract |
犯罪現場等に遺留された血痕や唾液・精液斑についてDNA鑑定を行う場合、一個人に由来する試料なのかあるいは複数人に由来する試料なのか、DNA鑑定の結果からは判断できない。DNA型を構成する数種類の変異が検出されたに過ぎないのである。人権擁護の観点からも決して冤罪を看過してはならず、確度の高い鑑定法が求められる所以である。斑痕試料から細胞を確実に採取しDNA鑑定を行うことができれば、問題は解決するものと思われる。そこで、混合斑痕試料から細胞を浮遊させ、顕微鏡下で細胞(mtDNA)を確実に採取し、斑痕試料からのDNA鑑定の精度向上を図り、かつマイクロマニピュレーションテクニックを用いた方法論を確立する。今年度は被験者複数人から唾液を採取し、まずは単独の試料からの採取を試み、装置の技術を取得し、1細胞からのmtDNAの増幅および塩基配列の検査工程を構築する。次いで2名の唾液で混合唾液を作製し、顕微鏡下で細胞(mtDNA)を複数個トランスファーさせ、mtDNAの型判定を行う。その混合唾液で斑痕試料を作製し、試薬に浸透させ浮遊させた細胞を複数個トランスファーさせ、mtDNAの型判定を行う。さらに、被験者3名以上の唾液で混合斑痕を作製して同様の検討を行い、混合斑痕からのDNA鑑定による個人識別を確立することを目標として行ってきた。浮遊させた細胞(mtDNA)を顕微鏡下で浮遊細胞をトランスファーする方法は習得できたが、1細胞からmtDNAを増幅する事が難しく、精製方法やPCR条件等、様々な条件下で適切な方法を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的のうちトランスファー装置による細胞の採取は習得出来たが、採取した1つの細胞からmtDNAを増幅する過程が難しく、混合試料からの識別には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に引き続き、1つの細胞からのミトコンドリアDNAの増幅を試み、さらに混合試料からの識別を可能にする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ミトコンドリアDNAの検査に必要な試薬やキットの購入に使用する予定である。また、研究成果の発表を行う。次年度への繰り越しとなった7525円について、顕微鏡およびトランスファー装置購入に際し、予定金額より購入金額が抑えられたために発生したものであり、次年度における試薬やキットの購入に使用予定である。
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