2011 Fiscal Year Research-status Report
歯科医療分野における輸入超過と国際競争力に関する研究
Project/Area Number |
23792527
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
阿部 智 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (90376749)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 歯科 / 医療産業 / 国際競争力 / 医療経済 |
Research Abstract |
「薬事工業生産動態統計平成22年年報」を用いて、歯科における医療機器、医薬品の国際競争力について調査した。その結果、輸入の割合(全生産と輸入の合計に対する輸入の割合)が50%以上で、輸入超過額が5億円を超える歯科医療機器・材料等は、歯科用インプラント材(51.3%、52億円)、義歯床安定用糊材(74.3%、48億円)、歯科技工用CAD/CAM装置(97.3%、12億円)、歯科用ワックス(68.5%、11億円)、その他の歯科診療室用機器(62.5%、10億円)、歯科用ベースプレート(91.2%、9億円)、歯科用スケーラ及びキュレット(78.7%、6億円)その他の歯科用研削材及び研磨材(56.4%、6億円)であった。輸出の割合(生産に対する輸出の割合)が50%以上で、輸出超過額が5億円を超える歯科医療機器・材料等は、高速エアタービンハンドピース(62.3%、20億円)、ストレート又はギアードアングルハンドピース(71.9%、20億円)、歯科充填用コンポジットレジン(52.7%、19億円)、その他の歯科用駆動装置及びハンドピース(78.8%、10億円)、歯科金属焼付用陶材(79.9%、9億円)であった。歯科陶材焼付用貴金属合金、歯科鋳造用金銀パラジウム合金はそれぞれ12億円、5億円の輸入超過額であったが、輸入の割合はそれぞれ16.3%、1.1%と低かった。歯科用鋼製器具(歯科用スケーラなど)、歯科用ワックス、歯科用研削材などは輸入に依存していたが、高い技術を要しない分野で、日本の歯科メーカーの逆輸入である部分もあり、グローバル化による適正な供給の分散であるが、研究開発費が必要である歯科用インプラント材や工業界の技術を応用する歯科技工用CAD/CAM装置など今後国内外で需要が見込まれる分野の輸入依存度と輸入超過額が多かったことは、今後の歯科医療産業界の大きな課題であると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成23年度計画の歯科医療関連製品の「国際競争力」については十分なデータを収集することができた。平成23年度は「国際競争力指数」を用いた国際競争力を示す予定であったが、初年度は各項目の細かい数値を示すのではなく、全体を俯瞰できるように全生産と輸入の合計に対する輸入の割合、生産に対する輸出の割合、輸入超過量によって国際流通による国際競争力をまとめた。歯科メーカーへの聞き取り調査につては、学内での出張が難しかったために、メールや電話での情報交換が主体となった。足りない部分はデンタルショーの展示ブースで、各メーカーの担当者からの情報収集で補足した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度十分な実施できなかった歯科メーカーへの聞き取り調査を今年度まとめて実施する。国際競争力指数を用いた国際競争力の状況については、最新のデータである平成23年度の情報を成果に反映できるように変更する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度実施できなかった聞き取り調査を実施するため、調査のための出張旅費を使用する計画である。調査対象は、歯科メーカー、歯科関係研究機関、各都道府県歯科医師会などの業界関係団体、外国のデンタルショーなどを想定している。1次データ入力のための人件費、パソコン、外国資料の翻訳も必要である。
|