2011 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者の生活再構築を目指した自然災害支援プログラムの開発
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23792535
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
坂入 和也 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (80361369)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 看護学 / 自然災害 / 防災 / 減災 |
Research Abstract |
本研究は、様々な自然災害に被災した精神障害者の支援のために、災害ごとの特性に基づいた精神障害者の支援のための試案を作成し、災害時に派遣された看護師が、精神障害者に対して中・長期的な視点で支援を行うことができる災害支援プログラムの開発を目的としている。本年度は、様々な自然災害が発生した場合に、精神障害者のサポートのための災害ごとの問題点と、その課題の抽出を行うことを目的とした。自治体等での精神障害者に対する支援体制および医療・看護ニーズの比較を行うことにより、要援護者への直接的な支援に関し応援派遣された保健師、看護師等の支援における問題点および課題を抽出する方策であった。主な調査項目は、精神障害者に対して直接行った支援内容、被災状況や避難指示の情報源、ニーズの集約で得た内容、移動手段、避難所等での問題点、身体あるいは精神症状の状況、その後の精神症状、今後の対策などである。尚、今年度実施した被災地に派遣された看護師等への調査に関しては、先に発生した東日本大震災での実際の支援活動についても含めている。 東日本大震災の被災者への支援に派遣された医療従事者(看護師、保健師、精神保健福祉士)への聞き取り調査の結果、災害時の情報収集の困難さや、活動する上での指示系統の不明瞭さなどが挙げられた。また、実際の支援活動において、記入しなければならない書類が煩雑で、実際にケアする時間のロスが生じてしまったという意見や、情報収集が重複してしまうという問題点もあった。時間的経過の中で、求められる支援も変わってくるが、優先順位をどうつけていくかといった点や、派遣された支援者に対する支援の必要性が生じていたといった課題も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していた調査対象が、東日本大震災への対応等のため、調査に困難を来たしている。そのため、援護者への直接的な支援に関し応援派遣された看護師等への聞き取り調査について、十分なデータが得られていないと考えられる。それに伴う旅費相当額、ならびにデータ収集のための物品費等が次年度への繰越金として発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れを生じている聞き取り調査を継続して行っていくことと同時に、今年度の目的である、自然災害時の精神障害者サポート体制の一試案の作成を行っていく予定である。今後の自然災害発生時において、精神障害者の被災後の生活再構築のサポートのために有益と考えられる、中・長期的な支援を見据えた、精神障害者のサポートについての支援プログラム案を作成する。作成に当たっては、先の自然災害における精神障害者の支援体制に関する実態調査での結果を踏まえ、いくつかの自治体の災害対策マニュアルも参考にする。内閣府・災害時要援護者の避難対策に関する検討会より出された「災害時要援護者避難支援ガイドライン」(平成18年3月)を参考に、自然災害時の精神障害者サポートのためのガイドラインの試案を作成し、それに沿ってカテゴリー分類を実施し、構造化をはかる。作成に当たっては、災害看護の専門家の助言を得る。作成された支援プログラム案をもとに、自治体関係者、保健師、看護師、ボランティア経験者などによる意見交換の機会を設け、それぞれの自然災害における支援プログラム案を作成していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、平成23年度に当初計画し、遅れを生じている災害支援者への聞き取り調査を継続して行っていく予定である。この現地調査等のための旅費、ならびにデータ収集のための物品費が必要となる。また、平成24年度においては、自然災害時の精神障害者サポート体制の一試案の作成を予定しているが、作成に当たっては、災害看護の専門家や実際に被災者のサポートに従事している専門職の助言を得る必要がある。また、作成された支援プログラム案をもとに、自治体関係者、保健師、看護師、ボランティア経験者などによる意見交換の機会を設け、それぞれの自然災害における支援プログラム案を作成していく予定である。そのための会議費や参加者の旅費が必要となると考えられる。さらに、調査結果の分析と、支援プログラム案作成のため、事務用品や消耗品、統計処理のための機器が必要となると考えられる。
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