2012 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者の生活再構築を目指した自然災害支援プログラムの開発
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23792535
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
坂入 和也 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (80361369)
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Keywords | 看護学 / 自然災害 / 防災 / 減災 |
Research Abstract |
本研究は、様々な自然災害に被災した精神障害者の支援のために、災害ごとの特性に基づいた精神障害者の支援のための試案を作成し、災害時に派遣された看護師が、精神障害者に対して中・長期的な視点で支援を行うことができる災害支援プログラムの開発を目的としている。また、中長期的な支援を見据えた支援のあり方といった観点から、被災初期の避難所での生活の段階から、仮設住宅での生活の援助といった中・長期的な支援体制を見据え、様々な自然災害時に派遣された看護職が、各災害特性に応じ、精神障害者に対して、生活の再構築に向けた自立支援を行うことのできる一提言となることを目指している。 平成24年度においては、平成23年度に引き続いて、被災後の精神障害者への支援体制を調査し、課題を明らかにすることと同時に、今後の自然災害発生時において、精神障害者の被災後の生活再構築のサポートのために有益と考えられる、中・長期的な支援を見据えた、精神障害者のサポートについての支援プログラム案を作成することを目的としていた。これまでの被災者への支援に派遣された医療従事者(看護師、保健師、精神保健福祉士)への聞き取り調査によって得られた、書類の煩雑さや、情報収集が重複してしまうという問題点、さらに、求められる支援の優先順位つけ方や、派遣された支援者に対する支援の必要性といった課題に加え、生活支援としての食料調達手段や交通・通信手段の確保、日頃の備えといったことが挙げられた。日頃の備えとして、病院に入院中から治療プログラムに組み入れる必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自然災害時の精神障害者サポートのためのガイドラインの試案を作成し、それに沿ってカテゴリー分類を実施し、構造化をはかることを計画していた。しかし、当初計画では、研究対象となる諸機関が東日本大震災の被災地となることを想定しておらず、研究協力の依頼や研究の遂行に支障をきたしていた。そのため、災害支援者への聞き取り調査について、十分なデータが得られていなかったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の自然災害発生時において、精神障害者の被災後の生活再構築のサポートのために有益と考えられる、中・長期的な支援を見据えた、精神障害者のサポートについての支援プログラム案を作成する。同時に、今年度の目的である、自然災害時の精神障害者サポートのための支援プログラム案の実施可能性の検証を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度については、前年度に遅れを生じていた災害支援者への聞き取り調査を遂行していたが、復興支援が優先されているという調査対象施設等の状況があり、十分な調査が実施できなかった。そのため、実施できなかった調査と平行して、最終年度である平成25年度は、支援プログラム案を作成する。支援プログラム案の作成に当たっては、災害看護の専門家の助言を得る。また、作成された支援プログラム案をもとに、自治体関係者、保健師、看護師、ボランティア経験者などによる意見交換の機会を設け、自然災害における支援プログラム案の実施可能性を検討していく。
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