2011 Fiscal Year Research-status Report
医療における職種間協働問題に対するチームビルディングの理論展開とその効果の検証
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23792536
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 麻未 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10451767)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 協働 |
Research Abstract |
チームビルディングの効果の評価指標の選定を目的として、文献調査、看護管理者を中心とした医療従事者からの意見聴取および質問紙調査を実施した。チームビルディングがチームにもたらす効果として、協働関係つまりチームプロセスの改善及びチームパフォーマンスの質の向上が考えられる。チームビルディングによって改善されるチームプロセスと考えられる組織目標やビジョンの共有、対人関係の改善などを測定するための評価指標として、Team Climate Inventory(TCI)日本語版を作成した。また、チームパフォーマンスの評価指標としては、文献調査に基づき、現在の患者ケアの質、チームとして継続的に機能する力、チームメンバーのチームで働くことに対する満足度が有用であると考えられ、これら3要素を評価する尺度を作成した。TCI日本語版およびチームパフォーマンス評価尺度が集団レベルで活用可能なものであるかを確認するため、28施設の病院において看護師のチーム及び看護管理者を対象に質問紙調査を実施した。その結果、両尺度は集団単位での分析が可能であること、TCI日本語版の尺度得点はチームパフォーマンスの評価と有意な関連があることが明らかになり、チームプロセスの評価指標として有用であるが、「チーム」の範囲に対するとらえ方は個人間で異なるため、部署などの明確に定義された集団に多職種が属しているか、あるいはこれらの職種が必要時だけでなく日常的に関わり合って業務を遂行しているという形態のある施設で用いる必要があると考えられた。参加施設のうち、継続して協力可能な施設に対して来年度以降フィードバックを行い、これらの施設における協働推進のための取り組みを把握しながら、介入方法や目標を設定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
協力を予定していた施設の事情の変更があり、予定通りの協力体制の構築に至らなかったため、計画の順序を変更し、評価指標の作成を中心に研究を実施した。これらは活用可能な指標であると考えられるが、継続的にデータ収集する体制を確保する必要があるため、やや遅れが生じている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の調査の対象施設のうち、データのフィードバックと討議を行う予定の施設がある。施設の管理者と話し合い、早期に今後のデータ収集の時期、協力体制について調整を行うとともに、対象施設の協働推進のための取り組みについて質的に調査を行う予定である。また、今年度から新たに協力可能な施設についても検討を開始している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は、質的な調査を実施しなかったため、謝金等の費用が発生せず、物品、その他の費用として主に使用した。次年度は、対象となる施設の現状把握のための質的調査および調査への指導・助言に対する謝金、量的データの継続的収集のための印刷・郵送費として用いる予定である。
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