2011 Fiscal Year Research-status Report
水中運動実施者の皮膚機能・性状の実態と弱酸性水による予防的ケアの効果
Project/Area Number |
23792545
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
根来 佐由美 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (50508794)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 皮膚バリア機能 / 弱酸性水 / 水中運動指導者 |
Research Abstract |
水中運動後の皮膚は角層が水を吸収し浸軟により角層がはがれおちやすく、水質維持のためにプール水に使用される塩素の作用も加わるため、定期的に水中運動を行う水中運動指導者は、皮膚のバリア機能が低下することが予測される。 そこで、本研究の目的は水中運動指導者の予防的なスキンケアの開発を目指し、皮膚角層水分量、皮膚pH、経皮水分喪失量(TEWL)の測定およびマイクロスコープ画像を用いた形態の定量化を行うことで水中運動実施者の皮膚のバリア機能や性状の実態を明らかにすること、水中運動後のケアとして皮膚のバリア機能の低下を予防できると予測される弱酸性水を連用し、その効果を検証することである。 6名の水中運動指導者(男性4名、女性2名、平均年齢は23.7±2.0歳)を対象に、水中運動実施後に毎回片方の前腕と下腿に1LのPH5.5の弱酸性水をかけ流す介入操作を1か月間行った。かけ流しを行う左前腕・下肢を介入群、右前腕・下肢を対照群とし、介入前後で、左右の前腕内側中央部と下腿膝蓋骨内側顆(以下、前腕と下腿とする)の角層水分量・皮膚pH・TEWLを測定した。ベースラインにおいて、角層水分量は左右前腕下腿とも10μSより低く乾燥状態であった。TEWLは前腕に関しては正常より高い値であることからバリア機能が低下していることが明らかとなった。また、弱酸性水の連用による効果については、下腿のTEWLが有意に低下したことを除くと、1ヶ月間(30日間)の水中運動回数は16.8±12.5回と個人差が大きかったため、統計学的な効果は認められなかった。 今年度データが得られた対象者は6名と少数であったため、次年度は対象者を増やすとともに、マイクロスコープ画像を用いた形態の定量化、さらには個別の変化についても分析をすすめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、(1)水中運動実施者の皮膚角層水分量、皮膚pH、経皮水分喪失量(TEWL)の測定、マイクロスコープ画像を用いて形態の定量化を行うことで水中運動実施者の皮膚の機能や性状の実態を明らかにすること、(2)水中運動後に生じる皮膚バリア機能の低下に着目し、皮膚の中和能を助け皮膚のバリア機能の低下を予防できると予測される弱酸性水等を水中運動後に連用使用した場合の効果を検証することであった。 当初は(1)(2)を段階的に行う予定としていたが、研究協力者は運動施設に勤務していることから、業務への支障や負担をできる限り少なくすることを考慮し、同時に実施した。そのため、(2)に関しては平成24年度に行う予定であったが、23年度にもデータを得ることができた。しかしながら、協力が得られた対象者は当初予定した人数に達せず、さらに対象者を増やす必要がある。データ収集は皮膚の機能や性状は季節による影響を受けやすいため、湿度や外気温が下がる夏季や湿度や外気温が下がる冬季を除外し、10~11月に実施しその後中断している。また、年度末や年度初めは、施設の人事異動等で業務が繁忙期となるため、5月以降に再開予定である。 また、(1)のマイクロスコープ画像を用いた形態の定量化については、分析方法を再検討する必要性からまだ分析ができていない状況である。 以上のことから、当初の計画より、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に使用予定の研究費が生じた理由として、予定していた対象者が得られていないことや測定値への季節環境による影響を最小限にするためデータ収集を中断したことにより謝金の使用が少なかったこと、学会参加をしていないこと、当初購入予定であった測定機器を借用することができたことなどがあげられる。測定機器に関しては、次年度は借用が困難であるため、購入もしくはレンタルをする予定である。 今後の研究推進方策としては、5月以降にデータ収集を再開し、それでも対象者が得られなかった場合は、10~11月に再度行うこと、23年度に分析ができていなかったマイクロスコープ画像の定量化については、専門家のスーパーバイズをえながら分析をすすめていくこととする。さらには、成果を学会や雑誌に投稿していくことととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
●物品費 358,887円・・・皮膚ケアに関する国内外の文献・資料の購入、ファイル類、紙類・文房具、ディスク類(USB)、プリンターインク、測定機器●旅費 400,000円・・・学会参加(国内 150,000円)地域看護学会、看護研究学会、看護科学学会等、(国外 200,000円)EAFONS等 ●謝金等 300,000円・・・研究補助員雇用費(データ収集およびデータ入力)、研究協力者の謝礼●その他 90,000円・・・会議費(研究施設との打ち合わせ)、測定機器レンタル料等
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