2011 Fiscal Year Research-status Report
示範の提示方向の違いによる看護技術教育効果に関する研究
Project/Area Number |
23792552
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
渕野 由夏 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (20316144)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 看護技術 / イメージ |
Research Abstract |
本研究では看護技術習得過程の初期段階に位置する模倣に着目している。学生が看護技術を模倣するためには、その看護技術のイメージを生成することが必要であり、そのイメージ生成には看護技術を観察させることが必要である。そこで、本研究では看護技術を観察させイメージ生成させる視覚的教示方法について検討を行う。特に本研究では、視覚的教示方法における示範(視覚的に模範的な看護技術)の提示方向の違いによる教育効果の比較検証を行うことを目的とする。今年度は上記目的のために平成24年度に実施する実験の準備を中心に実施した。はじめに、(1)専門知識学習のための資料の作成、(2)専門知識の学習状況を評価するための知識テストの作成、(3)技術提示のためのビデオの作成、(4)インタビューガイドの作成を行った。特に(3)技術提示のためのビデオについては、教育効果が比較検証できるビデオとなるよう試行を繰り返し作成した。そして、同じ方向を向いているモデルが示範を提示しているものでモデルの手元のみが撮影されているもの、対面したモデルが示範を提示しているものでモデルの手元のみが撮影されているもの、対面したモデルが示範を提示しているものでモデル全体が撮影されているものの計3パターンのビデオを作成した。これらは従来の看護技術教育で用いられているビデオには見られない新たなビデオとして完成させることができた。(1)~(4)を作成したうえで、実験の実施手順および技術の実施状況を評価するための技術テストの実施方法等について検討を行った。さらに、研究実施における人権の保護および法令等の遵守への対応のために、研究者の所属する研究機関の研究倫理委員会の審査を受け、承認を得ることができ、平成24年度の実験実施に向けた準備を完了することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を実施するにあたり、基礎看護学を専門とする複数の教員から専門知識学習のための資料の内容、専門知識の学習状況を評価するための知識テストの内容、技術提示のためのビデオの内容、インタビューガイドについて意見をいただき、その内容をふまえ、これらについて検討を繰り返した。また、当初、実験対象技術は「滅菌手袋の装着」を予定していたが、技術の実施状況を評価するためには実験対象技術の単純化を図る方が効果的であり、技術の変更を行っても本研究の目的達成には問題はないと判断し、「滅菌手袋の装着」から「無菌操作による創傷処置」に変更した。上記のような経過で平成23年度の研究を遂行し、その結果、専門知識学習のための資料、知識テスト、ビデオ、インタビューガイドが完成し、実験の実施手順、技術テストの実施方法等についても検討を終了することができた。このように平成24年度に実施する実験へ着手できる準備が整ったことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の具体的な実施計画として、必要物品の手配および実験環境の整備等、実験実施に向けた準備を4~5月に行う。特に実験環境の整備については、十分なスペースを確保し、また全ての研究協力者が同じ条件で実験を実施できるよう音や人の遮断等に配慮しながら整備を行う。そして、6月に研究者の所属する研究機関の学生に実験協力を依頼し研究協力者を募る。実験は研究協力者の予定を最優先し、学業や日常生活等に影響を及ぼさないよう7~12月の6ヶ月間という十分な期間を確保し実施する。実験は1回目はビデオ視聴直後とし、2回目はビデオの視聴内容が短期記憶として記憶されている1週間後、3回目はビデオの視聴内容が忘却される2週間後の3回を設定し、実施する。実験終了後の平成25年1~3月に実験データの分析(技術テスト結果の統計的解析およびインタビュー内容の分析)を行い、技術テスト結果の分析結果から得られる行動側面とインタビュー内容の分析結果から得られる思考側面という2側面のアウトカム用いて3パターンのビデオによる教育効果を比較検証し、示範の提示方向の違いによる教育効果について明らかにする。そして、その検証結果をふまえて研究のまとめを行い、それらをもとに論文投稿・研究成果発表を行う計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は本研究遂行に有用な知見等を得るための学会等への参加を予定していたが、日程等の都合により参加できなかったため、次年度に使用する予定の研究費が生じた。したがって、平成24年度は平成23年度に参加できなかった学会等に参加するための旅費として研究費を使用するとともに、今後の推進方策にしたがって、実験実施、研究のまとめおよび論文投稿・研究成果発表のために研究費を使用する計画である。具体的には、本研究の実験対象技術である「無菌操作による創傷処置」に必要な物品(攝子、膿盆、角バット、滅菌ガーゼ、ディスポーザブルシーツ、ディスポーザブル手袋等)、研究協力者の技術テストの実施状況を撮影するために必要な物品(デジタルビデオカメラ、三脚等)、文具等の購入を計画している。また、実験協力者に対する謝礼や研究協力者の技術実施状況を評価するために実施する技術テストの評価を依頼する基礎看護学の専門教員への謝礼等を計画している。そして、実験終了後は、研究のまとめおよび論文執筆に取り組むことから、これらに必要な文献等のための文献資料費、そして論文完成後の論文投稿に必要な諸経費(学会誌投稿費、別刷り印刷費等)および研究成果発表旅費に使用する計画である。
|