2012 Fiscal Year Research-status Report
看護師の感情労働に伴う自己感情の揺さぶられ理解の為のセルフチェックツールの開発
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23792570
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Research Institution | Takarazuka University |
Principal Investigator |
片山 知美 宝塚大学, 看護学部, 講師 (30510812)
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Keywords | 感情労働 / 自己感情 / セルフチェック |
Research Abstract |
筆者は、看護師の感情労働に伴う自己感情の揺さぶられ理解の為のセルフチェックツールの開発に向け、平成24年度は、平成23年度の成果を踏まえて、感情労働に伴う自己感情の揺さぶられを把握するための質問項目の選定を行った。また、それぞれの質問項目の、表面妥当性の検討を行うために、病院で勤務する中堅レベル以上の看護師に協力を依頼し、文章表現や形式の検討および修正を行った。その後、予備調査を実施し、その結果をもとに、本調査に向けた感情労働に伴う自己感情の揺さぶられを把握するための質問項目を取捨選択した。さらに、本調査に向けてセルフチェックツールの微調整を行った。 その結果、看護師の感情労働に伴う自己感情の揺さぶられ理解の為のセルフチェックツールは、「情の交流の表層レベル」、「自己の看護に対する違和感」、「現実とのズレに伴う葛藤と混乱」、「既成の社会的役割からの脱却」、「情の交流の深層レベル」、「特化された社会的役割の獲得」、「体験の意味の創造」、「職業観の変容」、「経験的知識の再編成」の9因子で構成される、全40項目の尺度になった。また、ポジティブな帰結に至る感情労働のパターン形成に関与する要因として明らかになった、『患者の回復過程に関わる』、『患者の感情表出に触れる』、『患者・家族からの感謝』、『死の見取り』、『看護師としての自覚』、『看護師としてのこれからに自分への期待感』、『できるようになりたい焦り』、『できない自分に対する怒り』、『自分の看護を表現しきれなかった反省』に関する内容が把握できる項目を取り入れ、感情労働に伴う自己感情の揺さぶられの程度を評価できるよう検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、看護師の感情労働に伴う自己感情の揺さぶられ理解の為のセルフチェックツールの開発に向けて、平成23年度の成果を踏まえ感情労働に伴う自己感情の揺さぶられを把握するための質問項目の選定を行うことが目的であった。よって、プレテストを実施し、尺度の表面妥当性の検討を行い、本調査で用いる尺度の検討を行った。さらに、本調査を、中・大規模病院に勤務する看護師を対象に実施する予定であった。しかし、研究協力施設における研究倫理審査委員会の承認までに時間を要し、本調査の実施が、平成25年度に延期することになった。よって、おおむね順調に進展しているものの、初期計画に沿った進展が一部望めていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降の研究方策であるが、看護師の感情労働に伴う自己感情の揺さぶられ理解の為のセルフチェックツールの開発に向け、これまでの研究成果を踏まえ、本調査を実施し、看護師の感情労働に伴う自己感情の揺さぶられ理解の為のセルフチェックツールの信頼性・妥当性の検証を行っていくこととする。 信頼性・妥当性の検証では、①感情労働に伴う自己感情の揺さぶられを把握するためのツールの項目の精選:各項目の識別性を確認するために、項目分析を行い、分布正規性の確認される項目、歪度、尖度がいずれも±1.5以下の項目を抽出する。また、項目削減相関係数法により0.4以下の項目を削除する。更に因子分析を行い、集積のない項目と因子負荷量0.4以下の項目を削除する。②感情労働に伴う自己感情の揺さぶられを把握するためのツールの信頼性の検証:各項目の因子得点、合計得点の内的整合性Cronbach's α係数を求める。③感情労働に伴う自己感情の揺さぶられを把握するためのツールの妥当性の検証:構成概念妥当性、基準関連妥当性の検討を行う。以上3点について実施していく。また、明らかになった研究結果は適宜、学会報告を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度においては、平成23-24年度の結果を受け、本調査の実施と、看護師の感情労働に伴う自己感情の揺さぶられ理解の為のセルフチェックツールの信頼性・妥当性の検証を行うことを目的としている。よって、調査用紙等消耗品購入費:100,000円、印刷費:100,000円、通信連絡費(切手):90円×3,500名=315,000円、調査場所までの交通費:200,000円、データ入力費:400,000円、コンサルテーション費:5,000円×12回=60,000円、消耗品購入費:50,000円、会議に伴う会場費等:30,000円が必要である。また、研究成果を発表するに当たり、研究成果発表費用:50,000円、翻訳・校閲費:100,000円、投稿料:75,000が必要となると考えている。
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Research Products
(1 results)