2012 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者対象の事前指定書作成啓発モデルの構築:家族の意思決定役割の変容に着目して
Project/Area Number |
23792571
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
服鳥 景子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10335755)
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Keywords | 事前指定書 / 高齢者 / 終末期医療 / 意思決定 / 家族機能 |
Research Abstract |
平成24年度は高齢者とその家族988名を対象に、家族機能尺度(FACESIII 日本語版)および終末期医療に関する意思決定についてのアンケート調査と分析から、事前指定書書面化への啓発活動モデルを構築した。 高齢者187名(回収率37.85%)とその家族154名(31.17%)からアンケート回答を得た。事前指定書には高齢者の約7割が賛同し、約6割が書面化を希望した。また、高齢者の終末期医療に関する相談相手は家族(p<0.05)または家族以外(p<0.05)であり、最終的な意思決定者は家族であると考える傾向にあった(p<0.05)。家族機能がバランス群の対象者(n=7)は、家族に終末期医療について相談したい(されたい)と回答する傾向にあり(p<0.05、カッパ係数1.0)、極端群(n=16)はさらに、家族が意思決定すべきと考える傾向にあった(p<0.05、カッパ係数0.6)。中間群(n=48)は、ほぼすべての項目で両者の意識が一致した。一方、家族機能についての認識が異なる場合(n=41)は、相談相手や終末期医療内容について両者の考えが一致しない傾向にあった。 以上から、高齢者とその家族は事前指定書の考え方に賛同し、書面化に対し肯定的な傾向にあった。そして、高齢者の終末期医療における家族の意思決定への期待と家族の思いは、家族機能が良好な場合は一致するが、不良な場合は両者の考えは相違する傾向にあった。特に家族間において家族機能に対する認識が相違する場合は、その違いが顕著となった。 事前指定書書面化への啓発活動モデルの主軸は、対象の年齢・家族背景(信頼する家族)・家族機能・事前指定書に対する認識・終末期医療に対する希望の5項目といえる。今後の課題は、啓発活動モデルを活用とともに高齢者の終末期医療における意思決定に特化した家族機能アセスメント指標の確立である。
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Research Products
(4 results)