2011 Fiscal Year Research-status Report
認知症を有する高齢慢性心不全患者の疾病管理における支援方法の検討
Project/Area Number |
23792576
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大津 美香 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (10382384)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 慢性心不全 / 認知症高齢者 / 疾病管理 |
Research Abstract |
平成23年度は、心不全の疾病管理及び認知症高齢者ケアの専門家各2名より助言を受け質問紙を作成し、全国の循環器を有する病院及び診療所の外来・病棟において認知症を有する高齢心不全患者の看護に携わった経験のある看護師1,000名(病院外来500名、病院病棟500名、診療所外来500名、診療所病棟500名)を対象に、急性増悪期にある認知症を有する高齢心不全患者の疾病管理及び退院に向けての疾病管理の実態について、郵送質問紙調査を行った。また、同意の得られた対象者のうち、循環器の病院の病棟に勤務する看護師3名にインタビュー調査を行った。その結果、「不穏」は、BPSD・精神症状の中で最も対応が困難であり、看護師の経験年数が平均より少ない群ではより困難と感じていた。また、「ルートの自己抜去等、生命の危険性がある」ことが最も対応が困難な状況であった。心不全の急性増悪期には不穏、興奮、せん妄、多動などの症状から「睡眠障害」や「転倒・転落の危険性が高い」状況を二次的に引き起こすため、安全対策を講じる必要があると考えられた。身体抑制は、BPSD・精神症状を引き起こす環境的な誘因となっていることから、抑制以外の対応方法として、家族の付添や馴染のある環境など、患者にとって安心できる環境を整えることが大切であると考えた。急性増悪期における一般管理の困難点については、「入院中水分制限が守れない」「塩分・食事制限が守れない」などが挙がり、入院中は看護師の介入により管理が行われていたが、認知症を有する高齢心不全患者が疾病の自己管理を行うことは困難であり、在宅療養に向けては、家族等の支援者の協力が心不全の悪化予防、再入院の予防の鍵となることがわかった。これらの結果を踏まえて、平成24年度は在宅における疾病管理の実態を把握するため、訪問看護ステーション及び介護老人福祉施設を対象に調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
回収率は低かったが、計画通りに調査、集計、まとめを終え、学会誌への論文投稿も3本済ませているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は全国の訪問看護ステーション、及び、介護老人福祉施設の看護師を対象に、郵送調査を実施する予定であるが、各事業所及び施設では看護職者の配置数が病院に比して少なく、回収率が低いことが見込まれるため、同意が得られる対象者には、第2段階として、インタビューを実施し、疾病管理の実態を詳しく聴取する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・物品費552,000円:質問紙・インタビュー調査のための用紙、プリンターインク、切手、ハガキなどの購入、質問紙作成のための書籍購入等・旅費365,000円:平成23年度の成果発表のための学会参加費・旅費、インタビュー調査の旅費・人件費・謝金73,000円:インタビュー調査の謝金、質問紙の印刷・袋詰めなどの作業のための協力者への謝金・その他10,000円:郵送調査の送料
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Research Products
(10 results)