2013 Fiscal Year Research-status Report
認知症を有する高齢慢性心不全患者の疾病管理における支援方法の検討
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23792576
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大津 美香 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (10382384)
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Keywords | 慢性心不全 / 認知症 / 疾病管理 / 対応困難 / 悪化予防 / 支援方法 |
Research Abstract |
本年度は、介護老人保健施設の看護職員が認識する認知症を合併する高齢慢性心不全療養者の疾病管理において対応困難な状況と、心不全の悪化予防に向けて実施されている疾病管理の支援の実態について調査を行った。全国の介護老人保健施設1,000施設に勤務する看護職員各1名に郵送調査を行い、79名から有効回答を得た。その結果、認知症の重症度が中等度~重度である言語的コミュニケーションが困難なアルツハイマー病の療養者への支援に困難を抱く傾向があった。不穏、興奮、多動、徘徊などの行動心理症状(BPSD)の支援に困難を感じていたが、BPSDよりも心不全の自覚症状の聞き取りが困難であること、説明しても理解が得られないことなどの認知症の中核症状に関する状況に困難を抱く傾向があった。心不全の悪化による再入院の原因には、発熱54.4%、感染症50.6%が多く、感染予防の支援や、他職種との連携によって塩分・水分・活動の管理が行われていた。一方で、歩行が可能で自発的に水分を摂取できる水分過剰摂取のある認知症療養者の支援に困難を抱く傾向にあった。服薬管理は、比較的支援が容易であると思われた。看護職用の疾病管理の支援のためのマニュアルを72.1%が非常に・まあ必要と認識し、拒食、拒薬、寡働などの認知症が関連する症状の支援方法よりも、心不全の疾病管理に関する知識全般や、他職種と協働で疾病管理を支援するための方法など、心不全の疾病管理の一般的事項についてのニーズが高かった。本結果を踏まえ、平成26年度には有識者の助言を受けて、対応が困難な認知症を合併する高齢慢性心不全療養者の心不全の悪化を予防するための支援方法のあり方を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究は、計画通り、全国の介護老人保健施設に勤務する看護職員を対象に質問紙調査を行った。また、本研究から得られた成果は、学術雑誌に投稿中であり、おおむね順調に計画通りに進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、認知症を有する高齢慢性心不全患者の心不全看護の経験のある認知症看護認定看護師を対象に、疾病管理の実態について個別訪問調査を行うことを計画していた。しかし、公益財団法人日本看護協会のホームページにおいて公開されている認知症看護認定看護師は約300名であり、そのうち、認知症を有する高齢慢性心不全患者の看護経験のある看護師を特定することは困難であると考えられた。そのため、個別調査ではなく、郵送による質問紙調査を行うことに計画を変更することとした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は200,000円の前倒し請求を行ったが、そのうち、127,131円を残金として平成26年度に繰り越すことになった。その理由については、平成25年度中に平成26年度分の質問紙調査の準備を行ったが、発送作業が平成26年度に持ち越しとなったためである。 平成26年度には質問紙調査の発送作業に係る経費、有識者会議において有識者より本研究への助言を得るための謝金および旅費、学会発表の旅費・参加費、論文投稿時の別刷代・役務費等の使用を予定している。
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Research Products
(11 results)