2011 Fiscal Year Research-status Report
精油を用いた看護ケアによるがん患者のストレス緩和効果の検証
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23792577
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助手 (70455731)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | がん / アロマセラピー / ストレス / 看護 |
Research Abstract |
本研究は、がん患者の相補療法の1つであるアロマセラピーに注目し、精油を用いた看護ケアによるストレス緩和・リラクセーション効果の検討を目的としている。今年度は臨床で多く用いられ、鎮静効果があるといわれているラベンダー精油を用いた足浴を実施し、検討した。1)方法:対象者は化学療法目的で入院中のがん患者20名。無作為に、足浴の湯にラベンダー精油を滴下した群(アロマ群)、足浴のみの群(足浴群)に分け、フットバスを10分間施行した。評価指標として、血圧・脈拍、質問紙(POMS短縮版、全身温度感覚、快適感覚、倦怠感の有無等)、唾液中ストレスマーカー(αアミラーゼ、コルチゾール)を前後に測定した。実施にあたっては、事前に説明文書を用いて研究内容および倫理的配慮について説明し同意書を得た。また、当日施行前に体調を確認した上で実施した。2)結果:(1)対象者の背景:アロマ群・足浴群ともに、男性6名、女性4名ずつ、平均年齢67.2±11.2歳であった。疾患は悪性リンパ腫1名、肺がん(ステージIIIA1名、IIIB2名、IV16名)であった。(2)生理的変化:アロマ群・足浴群ともに実施後血圧は正常範囲内でやや低下したため、副交感神経が有意になったと推測される。ラベンダー精油には血圧降下作用があるといわれているが、湯に滴下する方法では急激な変化はなく安全に使用できることが確認された。また、唾液中コルチゾールも両群で有意に低下し、ストレス緩和が示唆された(P<0.05)。(3)心理的変化:アロマ群においてPOMSの下位尺度「疲労」得点が実施後に有意に低下、すなわち疲労感が軽減した(P<0.01)。足浴群ではいずれの指標にも有意差はみられなかった。以上より、ラベンダー精油を用いた足浴はストレス緩和および疲労感軽減に効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的として挙げた、精油を用いた看護ケアのストレス緩和効果の検討に関して、今年度はラベンダー精油を用いた足浴を実施し、ストレス評価指標を用いて検討したことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今年度は精油1種類のみの使用であったため、今後は鎮静効果があるといわれている精油3種類を用いた看護ケアを実施して種類別効果を比較・検討する。(1)方法:成人20名、精油のみ、精油を用いた足浴、足浴のみ、コントロール群をランダムに実施する。(2)評価指標:前後で血圧・脈拍測定、唾液中ストレスマーカー、脳波、質問紙(気分評価用紙、快適感覚、精油の嗜好等)を行う。(3)分析:唾液試料はELISA法にて測定、質問紙データはSPSSで統計解析する。2.今年度の成果および次年度の研究結果を学会発表または論文にて公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、精油、質問紙、唾液中ストレスマーカー・脳波測定に要する消耗品の購入に充てる。謝金では、試料測定補助および質問紙データ入力に対する協力謝金として使用する。また、これらの研究結果を学会で公表するための旅費、および論文作成に伴う論文投稿・掲載費としてする。
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