2012 Fiscal Year Research-status Report
皮膚温測定を用いた糖尿病性足潰瘍評価スケールの開発
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23792580
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大江 真琴 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60389939)
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Keywords | 糖尿病性足潰瘍 / 皮膚温 / 評価スケール |
Research Abstract |
本研究の目的は糖尿病足潰瘍に特化した創部を評価するためのスケールを開発することである。特に、皮膚温測定を組み入れることで、肉眼的にはとらえられなかった深部感染を反映させ、妥当性の向上を図ることが特徴である。しかし、これまでに糖尿病性足潰瘍の治癒過程および皮膚温の所見を明らかにした報告はなく、まずはこれらを明らかにした。 糖尿病性足潰瘍の治癒過程は、19名26部位の潰瘍の経過をスケッチし、言語化した。その結果、深さ、創縁の性状、壊死組織のタイプ、壊死組織の範囲、感染/炎症の5つのカテゴリーが抽出された。特に、神経障害性の足潰瘍では、創縁の性状に角化の強い皮膚が出現し、上皮化すること、血管障害性の足潰瘍では、創縁に赤いリング状の変化を伴うことが明らかとなった。この結果を5月にEuropean Wound Management Associationにて発表した。現在、症例数を30名に増やし、カテゴリーの飽和化を検証している。 皮膚温所見に関しては、糖尿病足病変(足部潰瘍8部位、足部壊疽3部位、蜂窩織炎3部位)を有する10名を対象にサーモグラフィを撮影した。MRIでは骨髄炎のみ合併3部位、軟部組織炎症のみ合併4部位、骨髄炎と軟部組織炎症の合併3部位、骨髄炎・軟部組織炎症合併なし4部位であった。骨髄炎症例では足関節まで皮膚温が上昇していた。骨髄炎を標的疾患、足関節までの皮膚温上昇を陽性とした場合の感度は66.7%、特異度100%、陽性適中率100%、陰性適中率80%であった。本結果は7月に日本下肢救済足病学会にて発表した。ケースレポートをJournal of Wound Care、感度や特異度をUlcersに投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病性足潰瘍の治癒過程の明確化について、症例数が予定より少なく、調査期間を延長していたが、今年度、目標の30例に達していることから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病性足潰瘍の治癒過程のカテゴリーの飽和化を確認し、スケールを作成する。信頼性と妥当性を検証する。 サーモグラフィ画像のスケールへの導入を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スケールの信頼性と妥当性の検証には、専門家の協力が必要であり、謝礼を支払う必要がある。また、得られた知見を学術集会や投稿論文で発信するために、旅費や英文校正費を生じる予定である。
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