2012 Fiscal Year Research-status Report
救急重症患者の「食」のニーズの変化過程と看護の展開
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23792582
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大日向 陽子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (40570263)
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Keywords | 炎症性腸疾患患者 / 心のゆとり / 食生活 |
Research Abstract |
IBDは性格特性上ストレスを抱えやすい。根本的な治療法はなく消化・吸収能に準じた食事摂取が必要であり食事療法は治療の一端を担うが,再燃による苦痛体験から食べることへの恐怖を感じる等精神的苦痛が大きく食生活も乱れやすいとされる。ストレスと再燃の関連も報告されているため今回ストレスと密接な関連のある心のゆとりに着目し心のゆとりが食生活,身体状態に及ぼす影響について調査を計画した。心のゆとり感尺度開発者に使用許可を得た後,大学医学部倫理委員会の承認を得て調査を開始した。 調査プロトコール(計3回)のうち,1回目終了患者は計26名(CD13名,UC13名)である。対象者の心のゆとり感尺度α係数は.955,各下位尺度(「心の充足・開放性」「切迫・疲労感のなさ」「対他的ゆとり」)のα係数は.885.~926であった。stress response scale-18にて構成概念妥当性の確認を行った。CD群は「充実感を感じる」「生活に満足している」等がUC患者より有意に低値を示した。食生活は, 24時間思いだし法を用い調査した。CD群の1日脂質摂取量, PUFA摂取量,n-6PUFA摂取量,n-3PUFA摂取量がUC群より有意に低値であった。CD群のn-6/n-3PUFA比は6.0±2.6,UC群は6.2±2.9であった。身体状態ではCD群のPUFA, n-6PUFA, n-3PUFA, DHAがUC群より有意に低値であった。CD患者のn-6/n-3PUFA摂取量と血中n-6/n-3PUFAに正相関(r=.586,p<0.05),UC患者の脂質摂取量,MUFA摂取量と血中MUFAに正相関(r=.614,r=.641,p<0.05)があった。1回目調査終了時点では,CD患者のn-3PUFA摂取量が低値, n-6/n-3PUFA量が高値のため,n-3PUFA摂取が課題であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度はIBD患者26名(調査予定対象者50名)を対象に調査を実施したが,縦断調査が終了した患者の人数が予定人数に達していない現状である。また,全脂肪中脂肪酸分画を外注しているため,データ分析にタイムラグが生じ分析も予定よりも多少遅れている。調査項目の精選に関しては,心のゆとり感尺度は既存尺度のまま35項目とすることとしたが,身体状態,食生活の項目精選について多少遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
心のゆとりと栄養素・食品群別摂取量,身体状態の関係を分析し,2回目以降の調査項目の精選を検討する予定である。CD群では,経口摂取単独とED併用患者が含まれているため分析方法を検討すると同時に対象者を増やし,縦断調査を引き続き実施していく予定である。また今後は,収集したデータの分析を進めるとともに考察を深めていき,研究論文としてまとめる段階へと進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金が生じた理由は以下の通りである。 血液生化学検査(全脂肪注脂肪酸分画)をSRL(株)に依頼するための予算を組んでいたが,調査対象予定人数に達していないこと,縦断調査のうち2・3回目の調査が終了していない対象者が多いことなどより,請求金額に満たなかった。 上記を踏まえた次年度の研究費使用計画は以下の通りである。 調査対象者を今年度20名前後増やす予定であるため、食事調査に必要な備品(デジタルカメラ)の購入と血液生化学検査(全脂肪中脂肪酸分画)をSRL(株)に依頼する予定である。また、関連学会(日本臨床栄養学会,日本看護科学学会等)への投稿論文諸費用,発表旅費に充てる予定である。また,研究成果をまとめるための報告書作成費を必要経費と考えている。
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