2011 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部がん患者の治療経過に伴う"食"の認識・行動・健康状態と看護の展開
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23792584
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
長崎 ひとみ 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00436966)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 頭頸部がん / 食生活 / 食の意義の認識 / 食行動 / 健康状態 |
Research Abstract |
【研究背景】頭頸部がん患者は,手術・放射線・化学療法などの治療過程において,食欲低下,嚥下障害,味覚障害などにより食生活の質が低下することが明らかとなっている。患者の栄養状態を改善していくためには,治療過程に沿った患者個々の認識や行動,自覚症状の変化などを考慮した食事指導・栄養管理が必須であるが,現状では不十分であり,今後患者のQOLを高める食生活指導の実践が重要な課題である。【目的】頭頸部がんにより手術療法,放射線療法,化学療法を受ける患者の食生活を「認識」,「行動」,「健康状態」の3側面から捉え,治療過程に沿った縦断的な調査を実施し,治療過程に伴う食生活の認識・行動・健康状態の変化を明らかにし,治療過程に応じた看護師による食生活の指導指針を示すことを目的とする。【研究計画】第1段階として,患者の"食"を「認識」,「行動」,「健康状態」の3側面から捉え,治療過程に沿った縦断的な調査を実施し,各側面の変化および各時期の特徴について実態を把握する。第2段階として,治療過程に伴う患者の"食"の認識・行動・健康状態の関係性を分析し,各期に応じた食生活指導内容を検討し患者の食のニーズ,各治療時期に適った食生活指導書を作成する。第1段階では,手術・放射線・化学療法を受ける頭頚部がん患者50名程度を対象とし,頭頸部がん患者に特徴的な症状を文献から抽出した「頭頸部がん患者の食生活調査票」を用い,食の認識,食行動,身体状態54項目を調査する。同時に血液データ,食事摂取状況を調査する。調査は各治療において,I期(治療前),II期(術後食事開始2‐3日,放射線療法40Gy前後,化学療法4日目),III期(治療後)に縦断的に実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は,頭頸部がん患者の"食"の意義の認識・行動・健康状態の特徴を測定するための調査票を作成するために,頭頸部がん患者に起こりやすい症状の文献検索および栄養学・調理学・文化栄養学などから食の意義に関する単語の抽出を行い,「頭頸部がん患者の食生活調査票」を作成した。調査開始にあたり,倫理委員会にて承認を得た後,頭頸部がん術後で外来通院中の患者に対しプレテストを実施し,調査項目の精選および信頼性・妥当性の検討を行った。更に対象者に調査票への回答のしやすさを聞き取り調査し66項目から54項目に精選した。精選後の調査票のCronbachα係数は0.960であった。現在縦断的に調査が可能であるか入院中の頭頸部がん患者を対象にプレテストを実施中である。以上のことから,研究目的に沿った研究計画は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はプレテストの結果をまとめ,本調査を開始する。第1段階の具体的な計画を以下に示す。対象:頭頸部がんで手術療法,放射線療法,化学療法を受ける入院中の患者50名。調査内容:基本属性,頭頸部がん患者の食生活(食の意義の認識,食行動,健康状態)54項目について,「全く当てはまる」~「全く当てはまらない」をVAS(Visual analog scale)を用いて調査する。血液データ(TP, Alb, Hb, Ht, TG, LDH, WBC, RBC, 好中球数,リンパ球数,FBS等),食事摂取状況(摂取量,摂取エネルギー量,摂取栄養素量,PFC摂取エネルギー比率等)。栄養価計算には,栄養計算ソフトエクセル栄養君ver.6.0を用いる。調査手順:研究協力に同意が得られた対象者にI期(治療前),II期(各治療,術後食事開始2-3日目,放射線療法40Gy前後,化学療法4日目),III期(治療終了後)に縦断的な調査を実施する。分析方法:各期の頭頸部がん患者の食生活,血液データ,食事・栄養摂取量の平均値,標準偏差を算出する。I期~III期の比較には,一元配置分散分析(反復測定)を行う。各期の食の意義,食行動,健康状態の相関には,ピアソンの相関係数を用いる。第1段階の分析結果より頭頸部がん患者の治療過程における食生活の変化の特徴,および食の意義の認識,食行動,健康状態の関係性について明らかにした後,第2段階では,各期に応じた患者の"食"を改善するための指導書を作成し,看護師,管理栄養士・栄養士,言語聴覚士,医師と討議後修正し,関係病棟・外来看護師等に配布し活用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
食事・栄養関連の書籍を購入する。研究成果の発表および関連する研究分野の情報収集のために国内外の学会への参加費・旅費が必要である。また,研究結果をまとめ,頭頸部がん患者の食生活改善のための食生活指導書を作成するための費用として使用する。
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