2011 Fiscal Year Research-status Report
終末期がん患者の「家族への負担感」の概念化と尺度開発
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23792591
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大えき 美樹 鳥取大学, 医学部, 助教 (70403392)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 終末期がん患者 / 家族への負担感 / 尺度開発 / QOL |
Research Abstract |
本研究の目的は、終末期がん患者の家族への負担感の概念構造の明確化および家族への負担感尺度を開発し、尺度の信頼性・妥当性について検討を行うことである。平成23年度の研究実施計画として、国内外におけるがん患者の家族への負担感に関する文献検討を行った。その結果、国外においては、家族への負担感は多面的な概念として定義されていた。さらに、がん患者が経験する家族への負担感は死期に近づくにつれ悪化し、QOLや心理的満足度の両方に影響を与えるといった報告が多かった。家族への負担感尺度として、血液透析患者を対象に開発されたSelf-perceived Burden Scale が確認された。この尺度は、がん患者を対象に信頼性・妥当性が確認されていた。 わが国においては、家族への負担感は、QOLやスピリチュアリティに関連する要因として扱われ、家族への負担感に焦点があてられた報告数は少なく、概念については明確にされていなかった。また、日本人がん患者の負担感を測定する尺度は、Self-perceived Burden Scale日本語版以外は確認されなかった。Self-perceived Burden Scaleの質問内容は 一般的であるため様々な患者に適用できるが、がん患者の特徴を踏まえた尺度は存在しないことが明らかとなった。文献検討の結果から、日本人がん患者の特徴を踏まえた家族への負担感尺度の開発の必要性を見出した。 そこで、研究実施計画通り、終末期がん患者の家族への負担感の概念構造の明確化および家族への負担感尺度の開発に向け、終末期がん患者を対象とした半構成的面接実施の準備を進めている。現在、研究協力施設との研究調整を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献検討については、国内だけではなく、国外文献についても行っていることから時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、終末期がん患者への半構成的面接および面接質問紙調査を実施する。研究協力施設については、研究協力への了承を得ているため実施に向け研究調整を行っていく。面接内容の分析については、すでに研究の信頼性確保のためKJ法研修を終了した。したがって、面接終了後、直ちに分析を行い家族への負担感尺度原案を作成し、予備調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、終末期がん患者への半構成的面接、面接質問紙調査の実施のため旅費が研究費の中心となる。また、終末期がん患者の家族への負担感軽減に向けた看護介入の実践について示唆を得る目的で緩和ケア先進国であるイギリスのホスピス、訪問看護センターの視察を行う。
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