2013 Fiscal Year Annual Research Report
経口挿管患者における保湿ジェルを用いた口腔ケアのVAP予防効果と看護ケアへの影響
Project/Area Number |
23792594
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田戸 朝美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30452642)
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Keywords | 口腔ケア / 保湿ジェル / 人工呼吸器関連肺炎 |
Research Abstract |
本研究は、人工呼吸器装着患者における人工呼吸器関連肺炎VAP(Ventilator Associated Pneumonia:VAP)の予防に有効とされる口腔ケアにおいて、気管チューブを介した流れ込みによる不顕性誤嚥(Silent Aspiration)を最小にしながら、口腔内環境を良好に保つ保湿ジェルを用いた口腔ケアの効果と看護師の口腔ケア行動に与える影響を検証するものである。 保湿ジェルを用いた口腔ケアの効果は、救急患者を対象とした準ランダム化比較試験の結果から、重症度が高いほどまた口腔内環境が良いほど気管チューブのカフが汚染される結果となった。このことから、質の高い口腔ケアとともに、気道管理が重要であることがわかった。そこで、本年度は保湿ジェルを用いた口腔ケアが、プラーク破壊を阻害することなくまた細菌の口腔外への排出に効果的に作用するかを検証した。方法は、健常人19名を対象にランダム化比較試験のクロスオーバーで実施した。口腔内の細菌数は、通常ケア群においてブラッシング前後で有意に増加していた(p=0.007)。ブラッシング後の歯ブラシの細菌数は、通常ケア群に比べて保湿ケア群では有意に増加していた(p=0.001)。また、通常ケア群では、歯ブラシの消毒後に有意に細菌数が増加していた(p=0.000)。歯垢染色部分の面積(プラークコントロール・レコード(PCR))はいずれの方法でも、有意に低下が認められた(p=0.000) 。この結果より、保湿ジェルを用いた口腔ケアは、プラーク除去を妨げることなく、ブラッシング後の歯垢を歯ブラシにからめ捕り、口腔外への排出を容易にしたと考える。このことから、VAP予防に効果的な口腔ケアの一方策となると考える。
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