2012 Fiscal Year Research-status Report
クローン病患者への行動分析学的アプローチに基づく食事指導プログラムの開発と検証
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23792608
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
布谷 麻耶(吹田麻耶) 天理医療大学, 医療学部, 講師 (70514735)
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Keywords | 看護学 / クローン病 / 行動分析学 / 食事指導 |
Research Abstract |
本研究は、クローン病患者が自律的に、新たな食品が再燃誘引食品か否かを見極める行動(以下、試し体験行動)を起こし、摂取可能食品を安全に拡大することを目指すものである。 平成23年度は、患者の試し体験行動の維持を目指し、これまでに開発した食事指導プログラムを基に行動分析学的アプローチを組み込んだ修正プログラムを作成した。関西地区の1医療施設の消化器内科外来を定期的に受診するクローン病患者を対象に研究への協力を依頼し、同意が得られた患者にプログラムの適用を開始した。 平成24年度は、昨年度より開始したプログラムを引き続きスケジュール(導入期4週間、介入期20週間、フォローアップ期8週間)に則り実施し、11名の患者がプログラムを終了した。介入期においては、連続強化から間欠強化へと移行する強化スケジュールのもと、定期的に研究者へ食事日記の提出を求め、患者による再燃誘引食品の弁別の適否に対して看護師である研究者が評価のフィードバックを行った。フォローアップ期には、評価のフィードバックは行わなかったが、定期的に研究者への食事日記の提出を求めた。プログラムの効果を評価するために、①試し体験行動の出現頻度(回/週)、②クローン病活動度(IOIBD)、③症状(腹痛の程度、下痢の頻度、主観的重症度)、④生理学的データ(CRP、血小板、総たんぱく、アルブミン、ヘモグロビン)、⑤食事満足度(量的満足度、質的満足度)をアウトカム指標として、導入期から4週間ごとに質問紙調査で収集した。 今後は、収集したデータを分析し、プログラムの効果について検証する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、平成23年度に修正プログラムを完成させ、平成24年度にプログラムの実施、平成25年度にプログラムの評価を行う計画である。 研究実施施設において、本研究の対象者の条件に適う患者が少なかったため、当初計画していた人数ほど参加者を確保することはできなかったが、最終的に11名の患者にプログラムを適用し、介入を終了することができた。また、アウトカム指標となるデータの収集を定期的に実施できたため、今後、これらのデータを分析することでプログラムの効果を評価することが可能である。 以上より、本年度までの研究目的の達成度について、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、食事指導プログラムを適用した11名の患者から収集したアウトカム指標のデータを整理し、導入期、介入期、フォローアップ期までのデータを患者ごとに比較分析し、プログラムの効果について検証する計画である。 今年度は、プログラムの実施が中心であり、研究者が介入を行うために長期の出張が困難であった。そのため、途中結果の国内での学会発表は行ったが、国外での成果発表ができず、次年度使用予定の研究費が生じた。今後は分析結果をまとめ、国内外での成果発表を行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、収集したデータを分析、解釈するうえで参考となる書籍や文献を購入する計画である。また、研究結果をまとめ、その成果を国内外の学会や学術雑誌で発表するために必要な旅費、英文校正費や印刷費等で研究費を使用する計画である。
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