2012 Fiscal Year Research-status Report
前立腺がん患者の治療に対する意思決定を支援する看護実践モデルの構築
Project/Area Number |
23792616
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
佐藤 大介 宮城大学, 看護学部, 助教 (20524573)
|
Keywords | 前立腺がん / 意思決定 / 看護支援 |
Research Abstract |
本研究の目的は、前立腺がん患者がどのような体験を経て初期治療を受ける決意をしていくのかを半構成的面接法によって得られたデータを質的分析方法(グラウンデッド・セオリー・アプローチ)により明らかにし、意思決定の過程において必要と考えられる看護実践内容を抽出し、前立腺がん患者の初期治療に対する意思決定を支える看護実践モデルを構築することである。平成24年度は平成23年度に引き続き、データの収集および分析を継続して実施した。対象者は昨年度、強度変調放射線治療中である前立腺がん患者5名であったが、今年度は重粒子線療法を実施した患者6名のデータの収集および分析を現在行っている。保険適用外の最新の治療を選択する上で、既存の治療法後の合併症の存在や、がんの転移の問題、治療費など様々な要因が影響を与えながら治療を選択していた。分析にあたっては泌尿器科専門医や急性期看護に精通している質的研究者から研究計画および分析についてスーパーバイズを受け、結果の信頼性と妥当性の確保に努めている。今後の予定では、手術療法選択者5名、内分泌療法選択者5名を分析対象としており、各治療法の方から研究同意の内諾を得ている。前立腺がん患者が手術療法、放射線療法、内分泌療法とそれぞれの治療法を選択する上での、看護職の求められる役割には、どのようなものがあるのか、また病名を告知された時の思い、治療後の機能障害への不安、主治医からの治療法の説明を受け希望する治療を選択した時の思いなどに着目しながら分析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象者は、外来に通院する前立腺がん患者で、主治医から前立腺がんの診断と治療後の機能障害の可能性についてインフォームドコンセントがなされた者とし、初期治療内容として、手術療法・放射線療法・内分泌療法のどれか一つを患者が主体的な意思決定によって選択した者とした。現在のところ23年度に強度変調放射線治療中である前立腺がん患者5名、24年度に重粒子線療法を実施した患者6名の面接を実施した。25年度では、手術療法を実施した患者5名、内分泌療法を実施した患者の5名の面接を予定しているので、実施状況としてはやや遅れているが、対象施設の主治医や外来看護師と連携を図りながら、引き続き調査を継続している予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の面接調査時は、平成25年度に行う研究への施設依頼も兼ねて行い、施設折衝で調査の開始が遅れないように工夫した。また調査内容が羞恥心を伴うものも含まれており、調査場所の環境調整等の倫理的な問題には十分配慮し今後も研究を実施していく必要がある。また外来通院中に面接調査を実施するため、対象者によってはパートナーの方も付き添いできており、面接のために長時間外来で待たせてしまう状況も生じていた。対象施設の病院とも相談しながら、環境面にも配慮した対応を心がける予定である。また場合によって対象者の人数が少ない場合は、調査の進捗状況から随時対象施設を増やすことができるよう、事前に関連する病院に相談しておく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を円滑に行うためには研究協力者から専門的な知識や助言が不可欠である。また年度毎に研究協力者のもとを訪れる必要もあり、謝金および交通費は必要な経費である。国内における学会参加や海外での資料・情報収集は先駆的で独創的な研究、情報を得ることで、面接内容から得られたデータ分析時に幅広い知識や根拠を持って対応できるため必要である。また研究成果の発表においては学会で発表し、学術誌に研究論文を投稿することで社会への発信につながるため参加費・宿泊費等は必要である。消耗品費は用紙や記憶媒体、印刷等について資料等を作成する上で日々消費するものであり必要である。
|