2011 Fiscal Year Research-status Report
胸部大動脈瘤手術患者の回復促進看護支援プログラムの開発に向けた基礎的研究
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23792622
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
三浦 英恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (40588860)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 看護学 / 胸部大動脈瘤 / 外科的治療 / 回復 / 退院後 / 介入プログラム |
Research Abstract |
平成23年度は、胸部大動脈瘤手術患者の術前の生活・心理的状況、術後の回復状況の実態調査に向けて、調査票の作成に向けた準備を行った。術後の回復調査は、患者が抱える症状も捉える必要があり、その項目と質問内容を検討した。また、先行研究より「病気認知」の側面が回復に影響することが明らかとなっており、全人的な視点から回復を捉えるためには、今抱えている症状や徴候、病気認知に加え、生活・療養の側面を取り入れることが重要だと考え、先行研究の胸部大動脈瘤手術患者の退院後の回復過程に関する研究(三浦,2010)の2次分析を行った。 半構成的面接から得られたデータから、退院後の生活や療養、回復感に影響する要因となる記述を、因果関係を損なわないように抜き出し、質的帰納的に分析を行った。生活に関する影響要因は、生活の支えや基盤となる要因として<医師への信頼と恩義>、<将来の展望やイベント>などの5項目、生活に負担、葛藤、混乱を与える要因として<手術を契機とした役割変化>などの3項目、合計8項目が抽出された。療養に関する影響要因は、療養法実践を支え促進させる要因として<療養法を順守している自負と安心感>など4項目、療養法実践が負担に感じる要因として<家族からの療養法実践状況の確認>など4項目が抽出され、療養に関する影響要因は多岐に亘り、合計29項目であった。回復感に関わる要因としては、<病気・手術に関する知識>、<回復への時間的猶予性の保持>、<周囲の人々との対比>など、合計12項目が抽出された。生活や回復感に関する影響要因に比べ、療養に関する影響要因が圧倒的に多く、胸部大動脈瘤手術患者の療養法への不安や混乱を示していると考えられた。また、導き出された生活、療養、回復感に関わる要因に働きかけることで、回復を促進することが可能となるため、介入プログラムを検討する際の示唆も得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
胸部大動脈瘤患者の術前の生活・心理的状況、術後の回復状況の実態調査のための調査票の作成に時間がかかっている。本研究のキーワードである「回復」の概念も多岐にわたり、先行研究でも検討を行ったが、結果を今一度吟味する作業等、概念の体系化が進まない状況がある。調査票作成においては、概念とその構成が重要である為、慎重に検討を重ねる必要があり、平成23年度は調査が予定通り実施できなかったため、進行状況としては遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に行えなかった胸部大動脈瘤患者の術前の生活・心理的状況、術後の回復状況の実態調査を行う。対象者への調査依頼、面接調査を含め、調査施設の看護師、医師に協力を依頼する。調査データの入力等は、研究補助者を採用により研究の効率化を高める。特に調査票の作成に時間がかかっているため、尺度開発に精通した研究者の協力を得られるように依頼をする。また研究者は、研究協力者と随時、連絡体制を整え、研究全般を円滑かつ効率的にコーディネートを行う。 平成25年度は、胸部大動脈瘤手術患者への看護ケアの実施状況調査、医師・看護師へのヒアリング調査を行い、回復促進看護支援プログラムを完成させることが最大の目標となる。循環器疾患に関連する学術集会等で本研究課題に関する発表を行い、情報発信をしながら、人的ネットワークを広げる努力をし、本研究への協力体制を強化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の未使用額600,189円(主に、実施できなかった実態調査の謝金および通信費)、平成24年度300,000円、合計約900,000円が直接経費の見込みである。 研究を推進するために研究協力者との定期的な会議を行う予定であり、物品費(プロジェクター、図書、文房具等の消耗品購入予定)として10万円の使用予定である。また、人的ネットワーク構築と研究に関連する講演等の目的で旅費15万円、実態調査の謝金等(研究対象者@1,000円×200人、研究協力者@10,000円×4人、データ入力@10,000円×20日、翻訳代10万円)として50万円、その他(会議費、印刷費、文献複写費、通信費など)15万円の使用を計画している。
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Research Products
(2 results)