2012 Fiscal Year Research-status Report
胸部大動脈瘤手術患者の回復促進看護支援プログラムの開発に向けた基礎的研究
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23792622
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
三浦 英恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (40588860)
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Keywords | 看護学 / 胸部大動脈瘤 / 外科的治療 / 回復 / 退院後 / 介入プログラム |
Research Abstract |
平成24年度は、胸部大動脈瘤手術患者の回復促進のための看護支援時期、ケア内容と方法の検討に向け、質問紙の作成の準備を行った。 先行研究(三浦,2010)より、手術後の回復は患者の病気に対する認識が大きく影響していることが示唆された。患者自身の病気に対する見方、捉え方を病気認知(illness perception)と言い、この認知次第で病気への対処方法やQOLの水準も大きく変動することが推察される。胸部大動脈瘤手術患者においても、患者の病気に対する捉え方や手術に対する認識、理解によって、術後の回復やQOL、更には療養行動に影響する可能性が考えられ、この病気認知の項目を調査に盛り込むために再分析を行った。対象は、胸部大動脈瘤手術患者16名(男性11名、女性5名)の退院後6か月にわたり収集した半構成的面接と外来受診時の参加観察場面のデータを用いた。Levethalらの自己調節モデル(self-regulatory model)の病気認知の枠組み、同定(identity)、原因(cause)、時間軸(time line)、結果(consequence)、治療と統制(cure and control)の5次元に沿って、質的帰納的に分析した。 病気の時間軸や治療と統制は、術後合併症など、患者が退院後抱える身体的問題が大きく影響していた。病気の原因は心血管疾患になりやすい家系など、帰属理由には個別性も見られたが、不適切な生活習慣を自覚する患者も多く、大動脈瘤の多くは動脈硬化という疾患の特徴も反映していると考えられた。しかし、大動脈瘤は解離や破裂が生じなければ無症状であることが「病気の同定」を妨げ、更には「時間性」と「治療と統制」に影響することから、大動脈瘤患者独自の病気認知の構造を、定量的な研究を重ねがら、引き続き質問紙の内容の検討を続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を進める中で、質問紙の内容をより詳細に検討する必要性が生じ、本年度は回復に影響する患者の病気認知の側面からの分析を中心に行い、国際学会でも発表を行った。質問紙の内容を引き続き、検討を重ね、定量的研究を加えていく必要があり、当初の目的である回復促進のための看護支援時期とケア内容の検討までは十分に行えなかった。しかし再分析を重ねる中で、必要な看護支援内容やその時期についての示唆も得られているため、研究の達成度は、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度に十分に達成できなかった回復促進のための看護支援時期とケア内容の検討を行う。更には最終的な目的である、回復促進看護支援プログラムのプレテストを実施する。大動脈瘤患者の特徴を考慮した独自の調査・質問紙の検討が遅れているため、項目によっては、既存の質問紙の活用や併用を検討しながら、調査を行っていくことを検討し、研究の促進を図る。また、回復促進看護支援プログラムの実施に関しては、実施施設の医師、看護師に協力を依頼し、効率化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の未使用額343,308円を合わせ、平成25年度の直接経費は1,343,308円である。物品費として、図書・文房具等の消耗品購入として、10万円の使用を予定している。また、人的ネットワークの構築、国際学会での発表の目的で旅費30万円、プログラム実施のための謝金(研究協力者10,000円×20名、データ分析・入力の為の人件費10,000円×30日および交通費など)として50万円、その他(会議費、印刷費、文献複写費、翻訳・英文校正費、通信費など)44万円を予定している。
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Research Products
(3 results)