2012 Fiscal Year Annual Research Report
自発性低下の評価に関する研究―看護師と家族間の評価差とその要因について―
Project/Area Number |
23792630
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Research Institution | St. Mary's College |
Principal Investigator |
小浜 さつき 聖マリア学院大学, 看護学部, 助手 (20580731)
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Keywords | 自発性低下 / 看護学 / 高次脳機能障害 / 評価 / 家族ケアギバー |
Research Abstract |
前頭葉損傷に伴う自発性低下は、「自ら行動を開始する能力の低下(布谷とと椿原、1994)」と定義され、医療者や家族が病態の知識に乏しいとき、「怠惰である」と誤解されやすい病態である。本研究では、『自発性低下の評価には、家族ケアギバーの参加が不可避である』という見解を、1.看護師と家族ケアギバー間の自発性低下の評価差を明らかにする、2.自発性低下に関する看護師と家族ケアギバー間の評価差に関わる要因を明らかにする、以上の2点で検討した。 研究方法として、前頭葉損傷患者の家族ケアギバーと受け持ち看護師に対し、患者の自発性評価を依頼した。評価には、標準意欲評価法(日本高次脳機能障害学会、2006)の日常生活行動の意欲評価スケールを用いた。結果を元に、看護師と家族の評価の特徴と評価に影響を与える要因を分析した。 平成24年度は、継続して3組の対象に調査を実施し、前年度までのデータとあわせて48組(96名)の結果を分析した。看護師と家族の評価差に関わる要因についての分析では、看護師と家族の評価が異なる患者の特徴や調査依頼施設別に見る看護師評価の特徴について検討した。 結果として、1.自発性低下の評価に対する看護師と家族の評価は、回答結果の相関が高く(ρ=.761,Spearman)、類似した回答結果を示したが、「洗面(.181)」、「あいさつをする(.036)」、「話をする(.147)」においては看護師と家族の回答が有意な相関を示さなかった。2.看護師と家族の評価が異なる群は、患者の認知機能や身体機能が低く、CAS得点が高い、つまり自発性低下が重度であった。3.調査依頼施設別に分析しすると、看護師の知識や評価の特徴が異なる傾向にあった。 以上より医療者の評価に家族の評価を加味することや、看護師が自発性低下に対して知識を持つことにより、評価の客観性を高める可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)