2014 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍患者・家族の情報ニーズの明確化と情報支援ツールの開発
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23792631
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
津村 明美 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (90595969)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | がん看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍はまれな疾患で、他の癌腫に比べても患者数が少ない。神経膠腫をはじめとする悪性脳腫瘍患者は、患者・家族が有効に活用できる情報資源は限られている。本研究では、悪性脳腫瘍患者・家族の療養生活に関する情報ニーズを明らかにし、患者・家族がより良く過ごすためのニーズに沿った情報支援ツールを開発することを目的に研究を開始した。 平成23~24年度では、脳腫瘍患者・家族の情報ニーズに関する文献レビューとインタビュー調査から、情報ニーズとして、疾患や治療、予測される成り行き、予測される症状として脳機能低下による生活への影響、日常のケア方法、神経症状のマネージメント方法に関するニーズが明らかになった。家族員間での情報共有の仕方、こどもにどう伝えていくかという点においても課題があることが明らかになった。 これらの結果から、悪性脳腫瘍患者のQOL向上につながる情報を同定し、情報支援ツールを作成したいと考えた。しかし、研究をすすめるにあたって、悪性脳腫瘍は予後不良なものが多く、治療成績の評価には全生存期間や無増悪生存期間が重要視され、QOL研究は立ち遅れており、その実態が明らかとなっていないことがわかった。 平成25~26年度では、研究計画を吟味して変更し、悪性脳腫瘍患者のQOL実態調査を行った。がん専門病院に外来通院している神経膠腫の患者を対象に、EORTCのQLQ-C30とBN-20を用いて健康関連QOLを測定した。その結果、HGG(High grade glioma)患者は、LGG(Low grade glioma)患者と比べて、QOLスコアは治療開始前からPSにかかわらず低く、術後には治療経過とともに一時的に改善するが、再発時には治療開始時よりさらに低下することが明らかとなった。今後は、QOLの関連要因の同定、情報支援をはじめとする有効なケアを考えていきたい。
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