2011 Fiscal Year Research-status Report
コントロール感覚からみた出産体験の自己評価尺度の開発
Project/Area Number |
23792636
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
國清 恭子 群馬大学, 保健学研究科, 講師 (90334101)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 出産体験 / 尺度開発 / コントロール感覚 / 満足感 / 自己評価 |
Research Abstract |
本研究では、出産体験の満足度を測定する尺度の構成概念に、コントロール感覚を加味した出産体験の満足感を測定する尺度の開発を試み、その信頼性と妥当性を検証することを目的とする。 平成23年度は、尺度開発にあたり、対象者は経腟分娩をした母親と帝王切開分娩をした母親とを一緒に扱ってよいのか、分けることが妥当なのかのエビデンスを得るため、文献検討と調査を行った。とりわけ帝王切開分娩においては、出産体験に対する否定的感情が強いことが指摘されている一方、出産体験の満足度は経膣分娩か帝王切開による分娩かというような出産様式による違いは認められず、母親が納得するお産であったかどうかによるところが大きいとの報告もなされている。経膣分娩をした女性の出産体験に焦点を当てた研究と比べ、帝王切開分娩をした女性の出産体験に関する研究は圧倒的に少なく、また予定帝王切開と緊急帝王切開を含めて包括的に帝王切開分娩をした女性の出産体験を明らかにしている研究も少ない。 そこで、帝王切開分娩した女性の出産体験の内容を明らかにすることを目的として、帝王切開(予定・緊急問わない)にて出産した褥婦を対象に、文章完成法テストを用いて出産体験を問う自記式質問紙調査を行った。第2次および第3次救急医療施設である3施設において、合わせて部を配布し、現在までに81名より回答を得た。 今後は、大量のテキストデータを量的に分析・解釈することが可能なテキストマイニングの手法を用いて、データ分析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、尺度を構成する質問項目の抽出を目的とした質問紙調査を実施する計画であったが、文献検討の結果、経腟分娩と帝王切開分娩という分娩様式の違いを考慮し、対象者を分ける方がよいのか、合わせるのがよいのかのエビデンスが不十分であることが明らかになった。そのため、尺度項目の決定に直結する調査に先立ち、帝王切開分娩をした母親の出産体験の内容を調査する必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、臨床現場で実際に産後の母親の心理的援助に有効活用できるアセスメントツールとして、出産体験の満足感を測定する尺度の開発を目指している。その基盤として、当初の実施計画に加えて、新たにふたつの調査の必要性が生じた。ひとつは、尺度開発のターゲットとなる対象者を分娩様式の違いにより分けるか否かを判断するエビデンスとなる調査であり、平成23年度より実施中である。もうひとつは、尺度の有効活用の可能性を探るための調査である。具体的には、出産体験の振り返りの援助の必要性については多くの文献で指摘されているが、援助の方法論そのものに視点を当てた研究はまだ少なく、現在臨床現場で活動している看護者の多くは出産体験の振り返りの援助方法について模索している段階と推測される。現場の看護者に尺度を使用してもらうためには、まず援助の実態を捉えることも必要であると考える。そこで助産師が実際どのように出産体験の振り返りの援助を実施しているのかを明らかにする実態調査を実施する計画である。これらの基盤研究を平成24年度に実施する予定である。その後は、基盤研究の結果を基にして、尺度の質問項目の抽出、パイロットスタディー、予備尺度の作成と信頼性・妥当性の検証を進めていく計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、まず今年度実施した質問紙調査のデータ分析を進めていく。平成23年度の研究費は、主にデータ解析に必要なテキスト型データ解析ソフトウェアの購入に充てた。申請時に予定していたソフトウェアではなく、より本研究の分析に適していることが判明した別のソフトウェアを購入したことで予算のほとんどを使用したため、有効な使途が困難な少額の残額は次年度に繰り越すこととした。平成24年度の研究費は、データ入力や資料整理を依頼する研究補助者の謝金に充てる。研究補助者には、24年度に実施する実態調査のデータ入力等も依頼する。また、研究補助者が使用するデータ記録用のパソコンを購入する。旅費として、24年度に実施する実態調査に先立って行うフィールド開拓や研究打ち合わせ、情報収集および成果発表のための学会参加に使用する。その他、基盤研究の論文作成・投稿の費用、専門的知識提供の謝金、消耗品費(関連文献)、備品・消耗品費として使用する。
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