2013 Fiscal Year Research-status Report
コントロール感覚からみた出産体験の自己評価尺度の開発
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23792636
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
國清 恭子 群馬大学, 保健学研究科, 講師 (90334101)
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Keywords | 出産体験 / 尺度開発 / 自己評価 / 満足度 / 心理的健康 |
Research Abstract |
平成25年度は、現在国内外で発表されている出産体験の自己評価および満足度を測定する尺度の開発や尺度を用いた研究を概観し、尺度開発にあたり課題を検討した。 2001年~2013年に英語または日本語で発表された出産体験の認識や満足を測定する尺度、国外6つ、国内2つについて文献検討した。「出産体験」や「満足」の定義が述べられているものはごくわずかであり、国内外の尺度に共通して、多面的な要因で構成される出産体験やその満足に関する概念が明確でなかった。満足の定義が曖昧であるが、国外の尺度のほとんどは出産体験の肯定的・否定的認識によって満足度を評定していた。また、国内で2000年以降に発表された出産体験を主題とした原著論文27件について概観したところ、多くの研究は出産体験の産後の心理的健康への影響を問題視し、出産体験の重要性と看護援助の重要性を指摘していた。しかし、大半の研究が、その看護援助の方向性として出産体験を肯定的に認識できるよう援助することを主張していた。援助の必要性が高いケース(出産体験に関連したトラウマや早期産や低出生体重児を出産した母親など心理的にハイリスクな対象)にとっては、肯定か否定かの2極の側面だけでは心の傷つきを癒すことは難しい。 出産体験に関連した産後の心理的健康問題への援助を検討するためには、出産体験に対する心理的反応、つまり感情をとらえることができ、出産の多様性やリスクレベルを考慮し心の傷つきを抱えた対象者であっても負担なく回答できるような尺度の開発が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
尺度項目の選定に先立ち、国内外の出産体験を扱った研究について文献検討を行い、尺度項目案の抽出を行った。それをもとに、出産の多様性やリスクレベルを考慮して助産院から高次医療機関までの幅広い出産施設における質問紙調査の実施を予定しているが、フィールドとなる対象施設の開拓に難航し調査が開始できていないため、研究に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した尺度項目案について、パイロットスタディーを実施し、予備尺度の作成、本調査の実施、尺度の信頼性・妥当性の検討を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
尺度項目の選定に先立ち、国内外の出産体験を扱った研究について文献検討を行い、尺度項目案の抽出を行った。それをもとに、出産の多様性やリスクレベルを考慮して助産院から高次医療機関までの幅広い出産施設における質問紙調査の実施を予定していたが、フィールドとなる対象施設の開拓に難航し調査が開始できていないため、調査実施費用として未使用額が生じた。 質問紙調査を実施する予定であり、未使用額は、調査協力施設との打ち合わせ旅費、質問紙回収時に必要となる通信費、回収後の質問紙の整理・データ入力を依頼する研究補助者への謝金等に充てる。
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Research Products
(1 results)