2013 Fiscal Year Research-status Report
成人医療へ移行する先天性心疾患患者に対する教育支援ツールの開発とその評価
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23792639
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
落合 亮太 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (90587370)
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Keywords | 移行期医療 / 社会的自立 |
Research Abstract |
平成23年度は文献レビューと、海外の教育支援ツールの翻訳・内容妥当性の検証を行った。平成24年度は、翻訳した教育支援ツールに関し有識者と意見交換を行い、開発するツールの位置づけと名称を、成人期医療への移行の円滑化に特化した「成人医療へ移行する先天性心疾患患者に対する教育支援ツール」から、社会的自立全般に対する支援全般を目的とする「先天性心疾患患者の社会的自立に向けた教育支援ツール」へと変更した。平成25年度は、東北地方から近畿地方在住の対象者24名(医師6名、看護師2名、心理職2名、患者8名、家族6名)に面接調査を実施し、調査結果から「先天性心疾患患者の社会的自立に向けた教育支援ツール暫定版」を作成した。暫定版は、ライフスタイル・生活全般、社会生活・心理面、疾患理解、教育の4カテゴリ、全58項目から構成される。平成25年度終了時点で、教育のカテゴリに該当する項目は5項目と限られており、今後、具体的支援項目の抽出・追加の必要性が示唆された。また、調査結果から、先天性心疾患に加え、発達障害をはじめとした重複疾患を有する患者に対する支援ニーズの高さが明らかとなり、これらの患者とその家族への支援項目の抽出・追加の必要性も示唆された。さらに、障害基礎年金・障害厚生年金の診断書様式変更や小児慢性特定疾患治療研究事業の見直し等、福祉制度の変更に対して不安を抱いている対象者の存在も明らかとなり、教育支援ツールへ反映させる必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請時の研究計画では、平成24年度に面接調査を行い、平成25年度に開発した教育支援ツールの妥当性等を検討する予定であった。しかし、平成24年度に予定していた面接調査が平成25年度の開始となったため、年度当初から達成度にはやや遅れがあった。平成25年度は面接調査を実施し、症例数は順調に増加してきた。しかし、今年度作成した教育支援ツール暫定版には、教育、重複疾患のある患者の支援、福祉制度に関する項目が不足しており、網羅性に不備がある。このため、今後さらなる例数追加が必要であり、面接調査の完了までには、さらなる時間を要する。このため、研究計画の達成度は遅れていると言える。これにあわせ、研究終了年度を申請当初の平成25年度から平成26年度へと延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度から継続して、面接調査を実施する予定である。特に、教育、重複疾患のある患者の支援、福祉制度に関する内容を重点的に尋ね、開発する教育支援ツールの網羅性の向上を目指す。また、関連学会や患者会と連携をはかりつつ、関係者とワークショップや意見交換会を実施し、教育支援ツールの妥当性等を高める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
面接調査の遅れと、面接調査後に予定されていた教育支援ツールの妥当性等を検討するための調査が未実施となったため、次年度使用金額が生じた。 調査旅費、逐語録作成費用、調査補助者への謝金として使用する予定である。
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