2013 Fiscal Year Research-status Report
母乳育児中の母親への支援レベル測定尺度の開発とその評価
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23792640
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
名西 恵子 (大塚 恵子) 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40570304)
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Keywords | 母乳育児 / 尺度開発 |
Research Abstract |
母乳育児は母子の健康に重要な役割を果たすことから、生後6ヵ月間の完全母乳育児が推進されている。ところが、我が国では95%以上の母親が母乳育児を希望するにもかかわらず、1ヶ月健診時の母乳率は50%程度にすぎない。母乳育児の継続には、助産師などの専門家や、家族・友人からの支援が関係することが示されている。しかし、母乳育児中の母親が必要な支援を誰からどの程度受けているかを評価するツールはない。そこで、本研究では、母親が受けている母乳育児支援の程度を測定する尺度を開発し、約500名の出産後の母親を対象として尺度の信頼性と妥当性を検証することを目的としている。 母親を取り巻く人々からの支援が母乳育児継続に強く影響することが、種々の研究で示されていることから、周囲からの支援の強化を目指した介入研究も多くなされるようになってきている。最近では、夫や児の祖父母からの母乳育児支援を期待して、両親学級や祖父母教室で母乳育児への理解を深めようと試みている産科施設もみられるなど、臨床分野でも注目されている。このような介入や新しい試みの効果を検証するために、母乳育児支援の程度を測定するための妥当性のある尺度が必要とされている。それにもかかわらず、このような尺度は日本のみならず海外においても開発されていない。そこで、4年間で以下を行う。1.尺度開発のための概念づくり:文献レビューを行い、母乳育児継続に作用する周囲からの支援とは何かについての概念をまとめ、学術論文として発表。2.母乳育児栓尺度の開発(予備調査):概念にもとづいて尺を項目を選定し、約50名を対象に予備調査。3.尺度の信頼性および妥当性の検証(本調査):約500名の母乳育児中の母親に対して尺度を使用し、母乳育児の状況をフォローするなどして、尺度の信頼性と妥当性を確認。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度に、尺度開発のための概念づくりを行い、概念に基づいて尺度開発に着手する予定であった。つまり、文献レビューを行い、母乳育児継続に作用する周囲からの支援とは何かについての概念をまとめ、学術論文として発表。どのご、概念に基づいて尺度項目を選定し、約50名を対象に予備調査にとりかかる予定であった。しかし、文献レビューの結果、想定していたよりも概念は複雑であることが判明し、測定しようとするものを規定しなおす必要があるとの結論に達した。そのため、初年度に尺度項目の選定およびその予備調査を開始することができなかった。 次年度は、文献レビューを再度行い、尺度項目の選定を行った。 第三年度は、選定した項目につき、専門家の意見を仰いだ。その結果、項目の見直しが必要であると考えられたため、予備調査には取りかからず、文献レビューを再度行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、尺度の予測妥当性を検討するため、産後早期の女性を対象に尺度を使用し、その後1年間フォローアップし母乳育児との関連を検討する予定であった。しかし、研究期間が残り1年となったためフォローアップは行わないこととする。それに代わり、産後3―4カ月の女性を対象とした横断研究を行うこととし、測定時点での尺度得点と母乳育児との関連を検討することとする。具体的には、3―4カ月健診のために保健所を訪れた乳児の母親500名を対象として、質問紙調査を行う計画をたてている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に、約500名の女性を対象として1年間のフォローアップ期間をもつ、質問紙を用いた縦断研究を行う予定であった。しかし、文献レビューのやり直し等により計画が遅れ、予定通りに縦断研究を行うことができなかった。そのため、次年度に約500名の女性を対象として質問紙を用いた横断研究を行う予定である。 従って、次年度は約500名の女性からのデータの収集に未使用額を充てる。具体的には、調査票等の印刷に約27万円、郵送費に15万円、参加者への謝礼に5万円、データ入力補助者や調査票配布者等への人件費・謝金に約60万円、研究打ち合わせのための旅費等に5万円、論文の英文校正および投稿料等に約50万円、その他の物品費に5万円を充てる予定である。
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