2012 Fiscal Year Research-status Report
妊婦の不安が妊娠・分娩・産褥及び胎児・新生児の発達に及ぼす影響
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23792643
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
近藤 里栄 信州大学, 医学部, 助教 (10551385)
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Keywords | 妊婦 / 不安 / 愛着 |
Research Abstract |
【目的】妊婦の不安が妊娠・分娩・産褥期に及ぼす影響とその推移及び妊婦の不安と児に対する愛着との関連について明らかにする。【方法】2012年6月~2013年4月に2か所の産科医療施設に通院中の妊婦のうち、調査への協力と同意が得られた227名に自記式質問紙調査を実施。質問紙は、妊娠後期、産後入院中、産後1か月の計3回実施し、3回の回答を得られた69名のうち、有効回答が得られた67名を分析対象とした(有効回答率29.5%)。質問項目は、属性、産科歴、妊娠分娩経過、周囲のサポート状況、現在感じている不安についての質問項目に加え、不安水準の測定には新版STAIを、不安と関連があるとされる児への愛着や、母親のうつ、出産満足度について、Perinatal Attachiment Inventory、Maternatal Attachiment Inventory、エジンバラ産後うつ質問票および出産体験自己評価尺度短縮版を用いた。【結果】1.対象者全体の状態不安得点の平均は妊娠後期41.0±9.8点、産後入院中36.0±9.7点、産後1か月38.8±9.0点であった。2.妊娠期から産後1か月までの不安の推移をみると、妊娠中に強い不安を抱えていた妊婦は産後も強い不安状態である傾向が認められた。3.妊婦の不安と児に対する愛着について、不安が少ない妊婦ほど胎児や産後1か月時の児に対する愛着が有意に高かった。4.妊婦の不安と妊娠分娩経過、産褥経過、分娩満足度に有意差は認められなかった。5.妊娠期に強い不安を抱えている妊婦ほど夫との関係が悪く、産後1か月時の自分の体調が悪いと感じている割合が有意に高かった。更に経済面において不安を抱え、相談者がいない割合が有意に高く、産後うつ病の発症リスクも有意に高かった。以上のことより、妊婦および母親の心理的問題に対し妊娠期からの継続した支援の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画においては、質問紙調査の結果をもとに、不安が強いと推測される妊婦及び正常経過の妊婦に対し、妊娠・分娩・産褥期の不安の推移について、生理的指標として自律神経機能検査を用いた心拍変動解析、ならびに児の行動分類について比較検討予定であった。生理的指標の検討について、所属機関の倫理委員会では研究の承認を得ているが、研究の実施には至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
推進方策として、1.質問紙調査の総括、2.自律神経機能検査を用いた心拍変動解析の検討、3.自律神経機能検査の総括を行っていく。 1.については、学会発表および論文作成に取り組む。具体的には平成25年11月に開催される長野県母子衛生学会にて学会発表および論文投稿を予定している。 2.については、解析に機器を購入した上で実施していく。 3.については、2.の結果をもとに研究結果をまとめたのち、学会発表および論文作成を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、自律神経機能検査に用いる心拍変動測定機器の購入に充てる予定であったが、研究計画時の見積額より高額であること、研究実施において機器の改造費が必要となり、それらの費用が今年度予算では足りなかったため、次年度予算と合算し、購入費用に充てていく。
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