2011 Fiscal Year Research-status Report
救急患者の家族に対する援助の困難さを克服するための教育プログラムの構築
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23792661
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森木 ゆう子 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (70374163)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 救急患者 / 家族援助 |
Research Abstract |
本研究は、救急場面において多くの看護師が感じていると言われている家族援助の困難さの構造を明らかにし、救急患者の家族に対する援助の困難さを克服するための教育プログラムを作成することを目的にしている。本年度は以下の2つの具体的な目的をあげ研究を実施した。1.救急患者の家族に対する看護師の援助実践を記述した海外文献を検討し、救急患者の家族に対する援助の現象や全体像を明らかにする。 文献検索データベースScopusを用い海外文献を検討した。検索キーワードは「Critical care nursing」、「Family nursing」とし、研究手法を「Qualitative Research」に限定した。その結果、2009年度3件、2008年度19件、2007年度19件、2006年度10件、2005年度15件、2004年度11件であった。これらの文献の内容を検討したが、国内文献と同様、救急患者の家族に対する援助の現象や全体像を明らかにした研究はなかった。2.二次および三次救急医療施設における、看護師の経験年数毎の家族援助実践内容、患者家族の特性と看護師の能力の相乗効果、家族援助実践のアウトカムに関連する要因を明らかにする。 救急外来に勤務する看護師19名を対象とし、看護師が担当する患者の家族にはじめて接する場面から患者の診察・処置が一段落つくまでの看護師と患者の家族の言動を観察した。その後、看護師に対して実践している家族援助の内容や家族援助に対する思いなどを中心に半構成的面接を行った。また、同意の得られた患者の家族に対しても患者家族援助に関する半構成的面接を行った。現在のところ19場面の参加観察と面接を行い、得られたデータを質的帰納的に分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象(患者家族)を選定する際に、患者家族の悲しみを増強したり、不快感を与えたりしないよう細心の注意を払っているため、対象数を確保するのに苦慮している。 しかし、本研究は、看護師が患者家族に対応する場面に研究者が立ち会い、看護師と患者家族の行動や言動の観察と面接を実施するため、患者家族の身体的・精神的負担につながる危険性を最小限にするためにはやむを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように対象数を確保するのに苦慮しているため、家族援助実践内容、患者家族の特性と看護師の能力の相乗効果、家族援助実践のアウトカムに関連する要因を看護師の経験年数による違いまで抽出することができないかもしれない。 今後、対象数を確保するために多数の医療施設に研究の依頼を行う予定である。具体的には以下の通り研究を進める予定である。1.平成23年度に引き続き、研究者がフィールドに入り、二次および三次救急医療施設における、看護師の家族援助実践内容、患者家族の特性と看護師の能力の相乗効果、家族援助実践のアウトカムに関連する要因を明らかにする。2.平成23年度以降の研究結果から、患者家族の特性と看護師の能力の相乗効果や家族援助実践のアウトカムに関する質問紙を作成する。その後、全国の二次および三次救急医療施設に勤務する看護師を対象にアンケート調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主にデータ収集費として使用する。データ収集費の使用区分は以下のように考えている。1.調査研究費 二次および三次救急医療施設における、看護師の経験年数毎の家族援助実践内容、患者家族の特性と看護師の能力の相乗効果、家族援助実践のアウトカムに関連する要因を明らかにするための調査研究費として使用。2.アンケート調査費 平成23年度以降の研究結果から、患者家族の特性と看護師の能力の相乗効果や家族援助実践のアウトカムに関する質問紙を作成する。その後、全国の二次および三次救急医療施設に勤務する看護師を対象にアンケート調査を行うための使用。
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