2013 Fiscal Year Annual Research Report
子ども虐待のケアにおいて生じる看護職の感情のコントロールに関する研究
Project/Area Number |
23792662
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
辻 佐恵子 北里大学, 看護学部, 講師 (70422889)
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Keywords | 子ども虐待 / 関わり / 看護職 / 困難さ / 感情コントロール |
Research Abstract |
本研究の目的は、看護職が被虐待児と虐待者である親への関わりにあたって抱く困難さの内実を具現化し、そこで生じる感情のコントロールの構造を明らかにすることである。 当該年度は、子ども虐待のケアに精通した看護職4例に対するインタビュー調査を継続して行い、計9例(1例のみ2回)のインタビューを終了した。 インタビューでは、看護職が実際のケア事例を振り返り、被虐待児および虐待者である親への関わりや思いが語られ、インタビュー内容を丁寧に推敲し、質的帰納的に分析している段階である。その結果、被虐待児に対しては、子どもが表す難しさを前に【気持ちを乱され】つつ、【スタッフ間での情報共有】を行いながら【自分の気持ちを安定させ】て子どもと関わっている様子が窺えた。 一方で、親に対しては【身構え】ながら対峙しつつも【親の支援者である】という認識をもち、【親の大変さを共感】し、【親の話を丁寧に傾聴】していた。しかしながら、同時に思うように知りたい情報を得ることができなかったり、情報と異なる内容の話を親からされた場面等では、関わりに対する困難さを感じており、その際は【親の状況を推察】し、【無理強いせず】に慎重に関わっていた。こうした困難さについては【スタッフに相談】、【情報共有】しており、さらに専門委員会に相談することで、自身の見解や関わりの後押しを得ていることがわかった。 また、関わり当初は「なぜ虐待者である親に支援が必要なのか」という疑問をもっていたが、経験を重ねる中で親の置かれた状況や親の思いを知ることにより、少しずつ親への見方や関わりが変化していった様子も窺えた。この経験がスタッフ同士の関わりや教育に活かされており、今後は、現在のデータの分析をさらに進め、成果を明らかにするとともに、次段階では看護職の経験年数による認識と関わりの比較のための研究を展開していく必要性が示唆された。
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