• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

妊婦・授乳婦への薬物投与可否のスクリーニングに関する検討

Research Project

Project/Area Number 23792666
Research InstitutionIwate Medical University

Principal Investigator

千葉 健史  岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80552926)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords乳腺上皮細胞 / β-カゼイン / セロトニン / MCF-12A / プロラクチン
Research Abstract

母親が妊娠期および授乳期に使用する薬物の乳腺に与える影響は、適切な母乳育児を行う上で重要な問題であるにも関わらず、その可能性を評価できるスクリーニング法はない。本研究では、薬物が乳腺の機能発達および授乳期機能に影響を与えるか否かを評価できるヒト乳腺上皮細胞を用いた実験系の確立を試みた。 我々は、実験系に用いる細胞の候補として正常ヒト乳腺上皮細胞株MCF-12Aを選択し、マトリゲルコートしたディッシュ上で培養した際の細胞増殖性と、授乳期機能の指標であるβ-カゼインの発現を評価した。その結果、細胞は培養14日目まで増殖を続け、21日目まで生存性を維持した。さらに培養14日目と21日目の細胞におけるβ-カゼインの発現を比較したところ、21日目の細胞で有意な発現増加が認められた。次に、生体内で母乳産生に関わるプロラクチンと、乳腺の機能発達に影響を及ぼすことが知られているセロトニンを用い、β-カゼインの発現に対する影響について評価した。その結果、0.01mg/mlのプロラクチン処理ではβ-カゼインの発現増加が、0.01~0.1mMのセロトニン処理ではβ-カゼインの減少がそれぞれ認められた。ここまでの結果からMCF-12Aは授乳期機能を有し、内因性物質のプロラクチンとセロトニンに対する応答性を有する細胞株であり、実験系に有用な細胞株であることが示唆された。 さらに、MCF-12Aを用いた実験系の有用性を検討するため、セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)であるフルボキサミン、セルトラリンおよびパロキセチンのβ-カゼイン発現に対する影響について検討を行ったところ、すべてのSSRI処理(各1μM)によってβ-カゼインの減少が認められた。 以上の結果から、MCF-12Aを用いた細胞培養実験系は、薬物の乳腺機能発達および授乳期機能への影響を評価できる実験系となる可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

平成23年度は細胞培養実験系に用いる細胞株の候補として、正常ヒト乳腺上皮細胞株のMCF-12Aを挙げ、この細胞株が実験系に有用かどうかを明らかにすることを目的に以下の3つの検討を行った。1. 培養方法と培養期間の検討2. プロラクチン添加による培養細胞への影響の検討3. セロトニン添加による培養細胞への影響の検討 その結果、MCF-12Aはマトリゲルコートしたディッシュ上で21日間培養することによって、授乳期機能の指標であるβ-カゼインを発現する細胞株であることを明らかにすることができた。またMCF-12Aは、生体内で母乳産生および乳腺の機能分化に影響を及ぼすことが知られている内因性物質のプロラクチンおよびセロトニンに対して応答性を有し、生体内と同様の反応を示す細胞株であることが明らかとなり、MCF-12Aが実験系に有用な細胞株であることを示すことができた。ここまでの結果については、既に学会で発表し、雑誌論文に現在投稿中である。さらに、平成24年度に予定していたセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)による実験系の有用性に関する検討についても一部実施することができ、本邦で承認されているフルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン(各1μM添加)は、いずれもMCF-12Aにおけるβ-カゼイン発現の減少をもたらす可能性があることを示すことができた。以上の内容から「当初の計画以上に進展している」とした。

Strategy for Future Research Activity

平成23年度では、次年度に予定していたセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)による実験系の有用性に関する検討を一部実施したが、単一濃度(1μM)での検討にとどまったことから、平成24年度ではより詳細な検討を行うことで、実験系の有用性についてさらに検証していく。具体的には、各SSRIを臨床濃度(0.1~1μM)で実験系に添加し、コントロール群(SSRI非添加群)およびSSRI添加群と間でβ-カゼインの発現量に違いが認められるかどうかについて評価を行う。 また、前年度と同様に、学会および雑誌論文に積極的に発表および投稿していく予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度の研究費のうち、細胞培養の継続のために必要な、培地等の試薬、消耗品の購入に係る経費がおよそ2割を占めるものと考えている。また、残りの経費は遺伝子発現解析に要する抗体等の試薬および消耗品や、論文発表時の英文校正料、論文別刷印刷料、学会発表のための経費に充てる予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] ヒト乳腺上皮細胞株MCF-12Aの増殖および機能分化に対するセロトニンの影響2012

    • Author(s)
      木村聡一郎
    • Organizer
      日本薬学会第132年会
    • Place of Presentation
      札幌
    • Year and Date
      2012年3月29日
  • [Presentation] 乳腺上皮細胞の機能分化に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬の影響2012

    • Author(s)
      千葉健史
    • Organizer
      日本薬学会第132年会
    • Place of Presentation
      札幌
    • Year and Date
      2012年3月29日

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi