2012 Fiscal Year Annual Research Report
妊婦・授乳婦への薬物投与可否のスクリーニングに関する検討
Project/Area Number |
23792666
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
千葉 健史 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80552926)
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Keywords | 母乳 / スクリーニング / ヒト乳腺上皮細胞 / MCF-12A / セロトニン再取り込み阻害剤 |
Research Abstract |
母親が妊娠期および授乳期に使用する薬物の乳腺に与える影響は、適切な母乳育児を行う上で重要な問題であるにも関わらず、その可能性を評価できるスクリーニング法はない。本研究の目的は、薬物が乳腺の機能発達および授乳期機能に影響を与えるか否かを評価できる、ヒト乳腺上皮細胞を用いた実験系を確立することである。平成23年度までの研究において、研究代表者はヒト乳腺上皮細胞株のMCF-12Aが、上記実験系に有用な細胞株であることを明らかにした。 平成24年度では、既にヒト臨床研究によって、乳腺の機能発達および授乳期機能に影響を及ぼす可能性が示唆されているセロトニン再取り込み阻害剤(SSRIs;フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン)を用いて、本実験系が乳腺の機能発達および授乳期機能に対する薬物の影響を評価できる実験系であるのかどうかを評価した。MCF-12Aにおけるβ-カゼインの発現を機能発達並びに授乳期機能の指標として評価した。MCF-12Aにおけるβ-カゼイン発現は培養21日目に最も高くなることから、まず始めに、細胞播種後1日目から21日目まで、20日間にわたるSSRIs処理(1μM)を行い、MCF-12Aの機能発達に対するSSRIsの影響を評価した。その結果、SSRIs処理した細胞におけるβ-カゼインの発現は、いずれもコントロールと比べて有意に減少した。さらに、SSRIsの授乳期機能に対する影響を評価するため、通常培地で21日間培養した後、3日間のSSRIs処理(1μM)を行った結果、SSRIsは、いずれもβ-カゼインの発現を減少させた。これらの結果は、SSRIsを用いたヒト臨床研究の結果と関連しており、MCF-12Aを用いた実験系が、妊娠期における乳腺の機能発達並びに授乳期の母乳産生機能に対する薬物の影響を評価できる実験系として有用であると考えられた。
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Research Products
(3 results)