2012 Fiscal Year Research-status Report
ペアレントトレーニングの手法を応用した看護師の支援技術の開発
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23792680
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Research Institution | Sendai Seiyo Gakuin College |
Principal Investigator |
佐藤 利憲 仙台青葉学院短期大学, 看護学科, 講師 (10583031)
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Keywords | ペアレントトレーニング / 応用行動分析 / 発達障害 / 看護支援 |
Research Abstract |
ペアレントトレーニング(PT)とは、発達障害児の行動に対する適切な対応(PTの手法)を、保護者[ペアレント]が、習得するための訓練[トレーニング]である。しかし、PTの手法は、教育現場などの子ども集団では実践しにくいことが指摘されていた。そこで、研究 代表者らは、教師や保育士などを対象とした新たなPT(支援者を対象としたPT)を開発し、子ども集団への有用性を実証した。これにより、保護者に限定されていたPTの適用範囲が拡大し、子どもに携わる支援者への適用が可能となった。 そこで本研究は、発達障害児や精神障害者を支援する看護師に着目し、PTの手法を応用した看護師の支援技術を開発、さらには、開発した支援技術を習得するためのトレーニングプログラムを構築することを目的とした。 今年度は昨年度の調査結果をもとに、PTの手法の一つである「無視する手法(相手をしない・待つ)」が応用実践しにくい要因を分析している。要因の一つは、日本人の国民性である。欧米と異なり日本は集団主義であり、「他の同じこと」を美徳とする国民性がある。このため、特に集団内での手法の実践に抵抗感があり、実践が困難であると考えている。他の要因として、無視への抵抗感である。調査協力者の大部分が「無視」に対して抵抗感があり、ネガティブな印象を抱いている。ネグレクトと混同してる場合もある。また、支援者にとって、「支援=与えるもの」との認識が高いことも、無視する手法の実践を困難としていると考える。 その他の実績としては、昨年度同様に、PTの認知度とPTの手法の応用に関する調査を引き続き実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、看護師の支援技術を開発するために看護師の行動を質的に調査・分析する計画であったが殆ど実施できていない。昨年度同様に、被災地支援活動が増加し、研究活動の時間が大幅に短縮していることが要因と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究の進捗状況は遅れている。研究計画の大幅な変更はないが、看護師の行動の質的な調査は、看護師へのインタビューを中心に実施する。集団インタビューとし、患児や精神障害者の適応行動を増加させる看護師の言動や、不適応行動を減少させる看護師の言動、日々の看護で注目している患者の言動等について調査する。また、調査協力の得られた施設の看護師を対象に心の健康度を調査する。 これらの調査や分析を通して、看護師が実践可能な具体的なほめる手法や、無視する(相手をしない・待つ)手法を開発し、又看護師の現状に合ったトレーニングプログラムを構築していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する研究費は、研究協力病院や施設への依頼・相談・調査に関する旅費や、プレゼンテーション用の備品費、調査データの分析に関連する経費が主である。研究対象者への謝金は、インタビューを中心とするため1万円に変更する。また、関連図書の購入や研究協力者との打ち合わせでも使用する。
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