2011 Fiscal Year Research-status Report
精神科入院患者の強みを取り入れた退院準備状況アセスメント表の開発と使用効果
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23792687
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小宮 浩美 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (10315856)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 精神看護 / 精神障害 / 退院支援 / 退院援助 / アセスメント |
Research Abstract |
本研究では、精神科における退院支援の効果的な実行に寄与するツールの開発をめざし、多職種での情報交換が可能で、退院のために必要な支援を検討する際に使用できる患者の強みを取り入れた退院準備状態アセスメント表を開発し、これを使用することによる退院援助への効果を検証することを目的としている。本年度は、アセスメント表の項目の表現を精錬し、本調査への依頼・調整を行った。入院中の精神障害者の退院準備状態アセスメント表は、先行調査の結果を解析(主因子法、プロマックス回転)した結果、寄与率の高い順に「社会的行動力」「活動管理能力」「精神症状の安定性」「疾患理解」「緊急時の他者への要請」で累積寄与率は60.1%であった。下位尺度のCronbachの信頼係数は0.779~0.924で、十分な内的一貫性が認められた。具体的な項目は、社会的行動力(退院意欲、電話・交通・金融機関などの利用ができる、公共の場所での常識的な行動、金銭管理能力)、活動管理能力(生活リズム、休息、火の始末、個人衛生、物の管理、身体的健康問題のなさ)、精神症状の安定さ(症状が安定、症状があっても混乱しない、対人関係、服薬管理、作業療法やデイケアに参加できる、自殺や自傷行為がない)、疾患理解(治療・服薬の自覚、病気理解)、緊急時の他者への要請(症状悪化時の他者への相談、心配事の他者への相談、退院後の症状悪化の不安の表現や他者への相談)の28項目となった。次年度は、信頼性の検証のために評定者間信頼性と再テスト信頼性の確認、またREHAB(精神科リハビリテーション行動評価尺度)やPANSS(精神症状評価尺度)などの関連尺度を用いて依存妥当性を確認するとともに、患者の強みを取り入れた退院準備状態アセスメント表を用いることによる退院援助への効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、アセスメント表の作成は1年目、2年目は準実験アプローチを用いて介入病棟と比較病棟を設計し、介入病棟にはアセスメント表を使用してもらい、看護や病棟のスタッフ意識の変化、患者の満足度への影響を検証する予定であった。しかし、臨床で用いやすいアセスメント表にすることを目指し、項目の表現の検討に時間がかかった。また、所属機関での研究倫理審査委員会における審査手続きにも一定の時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床で用いやすいアセスメント表の項目表現にすることを目指して、精神科看護の実践および研究について経験知のある専門家の協力を得る。また、尺度開発および評価研究についても専門的見地から協力を得る。事務的作業やデータ収集が円滑になるように事務補佐員を確保する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究打ち合わせや調査のため、協力施設への交通費、研究協力者の旅費が必要である。研究結果の成果発表のための、国内学会旅費・国際学会旅費が必要となる。また、多くのデータを入力し、調査用紙などの資料整理のためにアルバイト学生への謝金が必要である。そして、研究協力者への謝金として一人当たり1000円(謝品)を確保し、全協力者数(100名程度)分の資金が必要となる。心理尺度のうちREHABについては有料となるため、尺度使用料が必要となる。また、成果は学会発表・論文投稿の他、ホームページ上でも公表するため、業者に作業を委託するホームページ作成費用が必要となる。
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