2012 Fiscal Year Research-status Report
児童虐待発生予防を目指した保健師の個別支援ツールの開発:ネグレクトに焦点をあてて
Project/Area Number |
23792690
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
有本 梓 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90451765)
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Keywords | 公衆衛生看護 / 保健師 / 児童虐待 / ネグレクト / ツール開発 / 個別支援 |
Research Abstract |
本研究は、保健師の効果的な児童虐待の発生予防とその評価を可能とするため、ネグレクトの予防と発見に焦点をあてた保健師の個別支援のガイドラインやアセスメントシート、記録用紙等のツールを開発することを目的とする。特に、保健師が接点を持つ機会が多い、3歳未満の乳幼児でネグレクトのリスクの高い家族への個別支援に焦点をあてた。 平成24年度は、児童虐待の発生予防を目指した個別支援ツール案の開発を目指し、①従来の個別支援の実態に関する調査の分析・公表、②国内外の文献レビューを行った。①では、1市の児童相談を担う機関に勤務する保健師5名を対象としたフォーカスグループインタビューから、ネグレクトのリスクを持つ家庭に対する個別支援の方法として、「ネグレクトのリスクを考える」「多問題を整理し、問題の優先順位をつける」「関係機関と共に家庭を見守る」「家族と良好な関係を作り関係を続ける」「親が成長し自立できるように支える」の5つのカテゴリーを明らかにした。また、62の支援内容をコードとして示した。さらに、1歳6か月児の母親を対象とする調査から、保健師の個別支援を受けた経験の実態と経験の有無による母親の特性の差異を検討した。②では、ネグレクトに関する海外文献をレビューし、アセスメント項目と個別支援方法を抽出した。 今年度の成果の意義は、①本邦で初めてネグレクトに焦点をあて保健師による個別支援を具体的に明らかにした点、②海外での動向や知見をふまえ保健師の個別相談ツール案の基礎を作成できた点である。 ネグレクトは個別支援が特に重要な虐待の種類であり、保健師はネグレクトのリスクの高い家族を早期から支援できる立場にある。ネグレクトは、状況を明らかにしにくく、長期間で進行し、個別性が高い上に、子どもの発育発達の遅れや体調悪化を起こし、生命の危機を及ぼす。本研究はこれらの問題を予防するために重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画で挙げていた計画は、保健師による個別支援の実態に関する調査としてフォーカスグループインタビューと質問紙調査までおおむね予定通り進められたが、個別支援ツール試行の時期が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23・24年度の成果を基に、個別支援ツールの洗練を行い、ネグレクトの予防と発見に焦点をあてた個別支援ツールの試行と評価を行う。 計画を推進するために、専門家に協力および助言を依頼し、データ収集及び入力を行う研究補助者を雇用する。また必要があれば、データ入力を委託する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
個別支援ツール試行および調査実施が遅れたために、平成24年度の繰越金が生じた(329,331円)。 調査旅費15万円、調査費(郵送費・ツール試行に伴う書類や調査票の印刷費)429,331円 文献・書籍費15万円、物品費15万円、会議費5万円 成果発表費(投稿料・英文校閲・学会発表費用等)20万円、成果発表旅費10万円 研究補助者雇用費10万円
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