2011 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護必要性の判定ツールの開発および実用に向けた効果的なタッチポイントの探索
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23792691
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田口 敦子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70359636)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 訪問看護 / アセスメント / サービス必要者 / ソーシャルマーケティング |
Research Abstract |
今年度は、主に訪問看護の必要性アセスメントシート(以下、アセスメントシートとする)の妥当性の検証と実用可能性を検証を行った。 まず、a県b市の介護保険認定者が利用する全80ヶ所の居宅介護支援事業所の介護支援専門員に対して、自記式質問紙調査票を郵送し、介護支援専門員が担当する要介護者について記入を依頼した。調査期間は2011年6月~7月であった。その結果、カットオフ値を2点にした場合、アセスメントシートは、感度68.1%、特異度63.4%、陽性的中度60.5%であった。アセスメントシートを作成したデータベースでは、感度77.0%、特異度68.5%、陽性反応的中度56.8%であったのと比較すると、感度・特異度は若干低かったが、陽性反応的中度はほぼ同等であったであった。 次に、アセスメントシートの実用可能性を高めるために、有用性や記入しやすさについて、介護支援専門員を対象に質問紙調査にて尋ねた。2011年6月~7月であった。c県の介護支援専門員協会より協力が得られた介護支援専門員30名を対象に、質問紙調査を実施した。「記入しやすいと思うか」については、「そう思う・まあそう思う」は73.9%、「活用できると思うか」では、「そう思う・まあそう思う」は62.5%、「活用してみたいと思うか」については、54.1%であった。保有資格別にみると、「活用してみたいと思うか」の項目で、福祉職が医療職よりも有意に多く、「そう思う・まあそう思う」(66.7%)と回答していた(p=0.024)。経験年数別でみると、「記入しやすいと思うか」の質問に対して、3年未満の介護支援専門員が3年以上に比して多く「まあそう思わない・そう思わない」(60.0%)と回答していた(p=0.039)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、アセスメントシートの妥当性および実用可能性については検討できたが、本研究のもう1つの目的である、訪問看護促進に向けたタッチポイントの探索が実施できなかった。その理由は、その調査の調整に協力が得られる予定であった自治体が、2011年3月の震災の影響により、協力が難しくなったためである。平成24年度は実施可能となる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、まずは、タッチポイントとなり得るあらゆる場面について聴取し、タッチポイントの分析には「タッチポイント・インベントリー」や「タッチポイント・グリッド」(Lisa Fortini-Campbell, 1999)等の枠を使用する。その上で効果的なタッチポイントを探索・検討する。 また、昨年度の結果を踏まえ、さらに妥当性・実用可能性を高めるために、改訂し検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に実施する内容は、以下の通りである。1.アセスメントシートの妥当性・実用可能性の検証:平成23年度で収集したデータを基に解析を進め、アセスメントシートの改善が必要な場合、改訂後に妥当性検証が必要となる。方法は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員を対象とし、介護支援専門員が担当する利用者(在宅療養者)に関してアセスメントシートの項目を含む自記式質問紙への記入を依頼(利用者800名~900名を対象とする)する。調査項目:性別、年齢、主疾患、医療処置、日常生活自立度、認知症の日常生活自立度、利用サービス、介護力、介護支援専門員による訪問看護野必要性の判断、等を予定している。分析は感度・特異度の算出等を行う。2.アセスメントシートおよび記入マニュアルの作成:アセスメントシートの記入マニュアルを、ヒアリングや質問紙調査で明らかになった課題を踏まえ作成する。3.タッチポイントの探索:住民(幅広い年齢層)、サービス提供者にヒアリング調査・質問紙調査を実施し、タッチポイントを探索する。それに応じた普及プログラムを検討する。4.報告書の作成、調査対象者への結果報告、国内外の学会での発表、学会誌への投稿、報告書の作成:本研究の結果は学会発表や学会誌への投稿だけでなく、アセスメントシートを実践者にも広めるため、報告会(アセスメントシートの説明会)の開催を調査対象者を中心に積極的に行う。
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