2012 Fiscal Year Annual Research Report
創傷感染メカニズムの解明による新たな看護ケア方法の確立
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23792692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仲上 豪二朗 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70547827)
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Keywords | クオラムセンシング / 緑膿菌 / 褥瘡 / 創傷看護学 / トランスレーショナルリサーチ / バイオエンジニアリングナーシング / マトリックスメタロプロテイナーゼ |
Research Abstract |
褥瘡細菌感染は重篤な合併症であるが、消毒や抗生剤など、細菌を死滅させる侵襲的な対応ではほとんど効果がない。「細菌の死滅に依らない感染制御」の確立を目的に、クオラムセンシングという細菌の遺伝子調節機構に着目して、研究を計画した。緑膿菌クオラムセンシングシグナルであるアシル化ホモセリンラクトン(AHL)は哺乳細胞の遺伝子発現を変化させることが報告されており、それが創傷感染の一部を担っている可能性がある。平成23年度はラット線維芽細胞株(Rat-1)に対して、緑膿菌AHL(3-oxo-C12)を作用させた際の遺伝子発現の変化をreal-time RT-PCRにて経時的に解析し、各種阻害剤を用いてシグナル伝達経路を明らかにした。その結果、AP-1パスウェイを介して、組織障害の原因となるMatrix Metalloproteinaseの遺伝子発現を亢進させることが明らかになった。平成24年度にはその詳細なメカニズムを解明すべく、より広範にAHLの濃度を変化させ、10μMを境に遺伝子発現および細胞形態がDrasticに変化することを見出した。そこで、1μMと10μMの濃度のAHLへの反応の違いがどのようにもたらされるかを明らかにすることがAHLの作用メカニズムの解明につながると考え、両濃度に曝露させた細胞よりRNAを抽出し、DNAマイクロアレイに供した。その結果、798遺伝子が10μMのみで上昇していることが明らかになり、Wikipathwayを用いたパスウェイ解析より、いくつかのGタンパク質共役受容体の候補が見いだされた。 今後得られた情報を参考に受容体探索を行い、AHLによりもたらされる過剰な炎症を制御する技術を開発する基盤を構築する予定である。
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Research Products
(6 results)