2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者における、認知症の進行に伴う概日リズムの変化の明確化に関する研究
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23792697
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
寺西 敬子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10345580)
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Keywords | 概日リズム / 認知症 / 高齢者 / 看護 |
Research Abstract |
認知症を持っている高齢者は不安が生じやすく、高齢者のケアを行う上で高齢者個人が持っているリズムに沿ったかかわりが必要である。しかし認知症を持つ高齢者の概日リズムは崩壊している、はっきりしていないとされ、明らかとはなっていない。そこで本研究では認知症を持つことで高齢者の概日リズムがどのように変化していくのかを明らかにすることを目的としている。 概日リズムの測定は腕時計型の測定機器を入浴時を除いた24時間装着して行う。ただし、認知症を持つ高齢者は新しいことがらに不安を生じやすく、測定そのものが不安を与えかねない。よって信頼関係がすでに構築された、入所施設のスタッフから装着を行ってもらい、測定機器に慣れる期間を確保したのちにデータ収集を行っている。また、測定機器のみではどんなイベントがあって活動や睡眠が影響されているのか不明なために、入所施設スタッフが日誌を記録し、測定機器による収集データを補完して分析に用いている。 また、日々の活動によって概日リズムは影響されるが、今回は施設入所高齢者に限定しているため、日々の活動はおおよそ一定であり、認知症と概日リズムの関連を見やすくしている。 このように目的が達成しやすい条件、環境、協力体制によってデータ収集を行った。これからは最終年度として全データを用いた分析、学会発表に向けた活動を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では認知症を持つ高齢者の長期にわたる概日リズムを測定することが必要である。その間には機器からのデータ抽出、バッテリー交換なども含んでおり、測定機器の取り扱い、統一された基準での観察日誌の記録が必要である。さらに個別性の高い認知症高齢者の日常の活動をとらえるためには個人ごとの情報を共有するスタッフと研究者の詳細な打ち合わせ、共通理解が求められる。これらを行いながらデータを集めており、このことは確実で科学的なデータの収集、高齢者、家族、スタッフにとっても安心を与えるものであり、実際にデータを分析する際の視点の多様さにつながると考えられる。実際、そのように進んできているため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は分析に主に集中し、分析をする中で必要な事例(軽度の認知症の人のデータが不十分であれば追加で収集など)のデータ収集も加えながら、報告書作成、学会発表をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
施設入所者で認知症を持ち、それ以外の身体状況が調査期間内に大きく変化しないような高齢者を対象者として設定している。そのため施設あたりに対象となれるような高齢者は想定より少なかった。一方で今回の測定方法、観察日誌の記録、研究者との共通理解をはかるには施設のスタッフと研究者の詳細な打ち合わせが必要であり新規施設をすぐには増やせない。これらより必要対象者数をまだ確保できていないところがあり、その経費が次年度使用額となった。 分析を実施しながら、解析に耐えうる事例数を確保するために追加の情報収集を行う。そのために施設入所スタッフへの測定にともなう謝金、測定機器のメンテナンス、高齢者や家族への研究依頼と説明などの費用に用いる。
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