2012 Fiscal Year Annual Research Report
退院調整における訪問看護師の稼働量のコスト換算と報酬,利益との整合性に関する研究
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23792698
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
須永 恭子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (50324083)
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Keywords | 退院調整 / 訪問看護 / 報酬 |
Research Abstract |
【本研究の目的】は、退院調整における訪問看護師の実質的稼働量を把握し、 訪問看護ステーション(ST)の経営への影響を検討するものである。研究開始年度はSTの経営と運営状況について管理者を対象に調査し、退院調整に関する業務を負担として捉えていることが分かった。 これに続き次年度は、退院調整における実質的稼働内容と量(時間)を調査した。【調査対象】はST所属の訪問看護師1000名とした。データ収集方法は無記による選択式アンケートで、加算の有無、退院調整として実施した事とその所要時間・移動時間(※1)、退院調整と報酬に関する意見(自由記述)を把握した(※1:退院前、依頼から初回訪問前、初回訪問後、2回目訪問から月末の4区分を設定)。181名から回答を得た。 結果の概況は、退院支援部門の関わり有68.5%、退院時共同指導加算(医療保険37.6%、介護保険28.7%)、退院支援指導加算15.5%であった。「退院カンファレンス」の実施場所は病院92.3%で移動時間30-60分31.4%、60分以上17.7%、カンファレンス所要時間30-60分56.4%、60分以上38.7%であった。カンファレンス以外、即ち加算に該当しない事の所要時間は、4区分各々において計1時間以上であった。自由記述では「カンファレンス以外に加算がつくと良い」「退院できないケースでも算定できると良い」「移動とカンファレンスに半日かかり加算を取っても赤字」「カンファレンス開催回数分の加算が必要」等が見られた。以上より、退院調整の実質的稼働には持ち出しで対応し、経営上は負担となっていることが分かった。 これまでの研究で退院前後を含め実施した調査は無かった。本研究により退院に必要な実質的活動と報酬の不整合が示された。早期退院が推進される中、活動の質担保の為にも稼働内容・量と報酬とのバランスを今後も把握していく必要がある。
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