2011 Fiscal Year Research-status Report
唐辛子添加食品による加齢性の嚥下機能低下予防法の検証
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23792740
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
秦 さと子 (小野 さと子) 大分県立看護科学大学, 看護学部, 講師 (10443897)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 嚥下機能低下予防 / 唐辛子 / 食品 / 老化 / 看護学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高齢者の嚥下反射の低下予防、改善のために効果的な唐辛子添加食品の摂取方法を明らかにすることである。平成23年度は、「摂取すべき食品の特定」と「高齢者の唾液中のSP濃度と食習慣の関連」について明らかにすることを目標とした。研究実績は次のとおりである。1.摂取すべき食品の特定については、まず1種類を決定し、原材料名中に「唐辛子」の表記されているものの中から製造元のことなる3品について、カプサイシン含有量を高速液体クロマトグラフ法を用いて測定した。結果は、対象とした3品の内2品に検出可能な濃度のカプサイシンが含まれていたが、1品は検出されなかった。この結果より、単純に唐辛子を添加した食品すべてが、唾液中のSP濃度を上昇させるわけではない可能性が示唆された。そのため摂取すべき食品の特定要件を「原材料に唐辛子が含まれている」以外にも明らかにする必要性が確認された。次に、特定した食品を摂取することで唾液中のSP濃度の変化の有無を確認するために、健康高齢者5名、健康成人5名を対象に唐辛子添加食品の摂取前と摂取後に唾液を採取した。採取した試料については現在分析中である。 2.高齢者の唾液中のSP濃度と食習慣の関連については、現在進行中であり、現在のところ健康高齢者(肺炎罹患経験のある者を含む)5名にアンケートにて嚥下状態の自覚症状を調査し、高齢者が不顕性誤嚥を起こしやすいとされる睡眠前後のSP濃度状態を確認するため眠前、起床時に唾液を採取した。この調査に関しては、対象が肺炎罹患経験のある高齢者10名、肺炎罹患の無い高齢者10名を目指している。なお、本研究に関しては、平成23年4月~平成23年9月末日の期間、産後の休暇および育児休業に伴い補助事業を中断し、平成23年10月1日より取り組んだ実績を報告する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食品中のカプサイシン含有量の分析、唾液中のSP濃度の分析に時間を要しているため。また一度得られた唾液中のSP濃度の分析結果では、下限値が高く、より正確な分析をするためには、下限値を下げたデータを得る必要があり、現在再分析中である。この結果によって次の実施計画の微調整が必要であるため結果を待っている状態。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの実施計画について、実施時期の修正を行う。唾液中のSP濃度分析の下限修正後の結果が得られ次第統計学的分析を行い唐辛子添加食品摂取の影響を明らかにする。また、今年度の最終計画であった「高齢者の唾液中のSP濃度と食習慣の関連」に関しては、対象の追加を進めていく:平成24年9月末終了予定とする。最終段階の「嚥下反射惹起時間に関する唐辛子添加食品の継続摂取の効果の検証」の期間を平成24年10月~1月末までに終了予定とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、産後の休暇および育児休暇のため、研究開始時期を遅らせたことから着手できていない調査があることから本年度予算は大幅に残金がある。しかし、本年度実施途中にある「高齢者の唾液中のSP濃度と食習慣の関連」を検証するためには対象者の追加に伴う謝金や分析費が必要である。また、次年度の「嚥下反射惹起時間に関する唐辛子添加食品の継続摂取の効果の検証」に関しても、長期的な調査になることから物品費と人件費、分析費用が必要となる。さらに、得られた成果を公表するための学会参加に伴う旅費等に研究費を計上すると本年度と次年度を合わせた予算が必要である。
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