2012 Fiscal Year Research-status Report
唐辛子添加食品による加齢性の嚥下機能低下予防法の検証
Project/Area Number |
23792740
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
秦 さと子(小野さと子) 大分県立看護科学大学, 看護学部, 講師 (10443897)
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Keywords | 嚥下反射惹起時間 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究目的は、高齢者の嚥下反射の低下予防、改善のために効果的な唐辛子添加食品の摂取方法を明らかにすることである。本年度は「嚥下反射惹起時間に関する唐辛子添加食品の継続摂取の効果の検証」について明らかにすることを目標とした。研究実績は次のとおりである。 1.摂取すべき食品の特定:高速液体クロマトグラフ法による分析結果から白菜の浅漬けを介入媒体とした。 2.嚥下反射惹起時間に関する唐辛子添加食品の継続摂取の効果の検証:対象;健康若年者10名、嚥下反射惹起時間正常高齢者(以下、高齢者正常群)10名、嚥下反射惹起時間遅延高齢者(以下、高齢者遅延群)7名。方法:浅漬けの摂取期間は毎食直前、20日間とした。嚥下反射誘発テストは浅漬けの摂取開始前日、摂取期間終了翌日、その1週間後(唐辛子添加食品の摂取を控える期間後)に行い、それぞれ対応のあるt検定(p<0.05)にて分析した。結果;若年層における嚥下反射惹起時間は浅漬け摂取前に比べ摂取後は有意に短縮したが、1週間後には摂取前の時間に近づく傾向であった。高齢者正常群では、摂取前、摂取後、1週間後では有意な関連はみられなかった。しかし、高齢者正常群全体の嚥下反射惹起時間の平均は、摂取前と摂取後では短縮傾向を示し、1週間後には摂取前の時間に近づく傾向を示した。さらに高齢者遅延群は、摂取前、摂取後、1週間後で有意な関連はみられなかったが、高齢者遅延群全体の嚥下反射惹起時間の平均は、摂取前に比べ摂取後の時間が短縮する傾向を示し、1週間後はさらに摂取後よりも反射惹起時間が短縮する傾向を示した。結論;唐辛子添加食品の20日間の継続摂取は、嚥下反射惹起時間の改善に効果がある可能性が示唆された。ただし、高齢者になってからの介入では改善効果が出にくく、若年者から予防行為を行う必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本調査は唐辛子添加食品の摂取には、継続する一定期間が必要であり、調査開始日が決まれば、それに合わせて、対象者、家族、および研究者の約1ヶ月間の日程調整が必要となる。そのため、できるだけ多くの対象者を同時に開始したいと考え取り組んだ。また、本研究における対象者は、研究協力に同意してくださった方に対し、嚥下反射惹起テストを行い、正常群、遅延群に分けて分析する。依頼した施設対象は、当初、分析に十分な人数と見込んでいたが、実験期間中に体調不良や入院など(本実験とは関連性なし)で複数の中断者がでたため、正常群の人数は予定数がほぼ集まったが、研究協力者の中に異常値を示す人が少なかったため、対象者の追加が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者施設に研究協力を依頼し、高齢者の対象者を追加し、再度分析を行う。事前に施設管理者へ嚥下反射惹起遅延者と思われる人を選定してもらう。 得られた成果は、論文にまとめ公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
対象者の追加に伴う人件費(謝金)、実験および分析に必要な消耗品の購入費、調査に伴う移動旅費として使用する計画である。
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