2011 Fiscal Year Research-status Report
多胎児の父親のワーク・ライフ・バランス:育児参加が父親に与える影響の検討
Project/Area Number |
23792749
|
Research Institution | Senri Kinran University |
Principal Investigator |
林 知里 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (50454666)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 父親 / 育児参加 / 双生児 |
Research Abstract |
「双生児の親の会」の会員1016名に「子育て中の父親のワーク・ライフ・バランス」に関する自己記入式アンケートを郵送し、211名の父親から回答を得た(回収率20.8%)。調査内容は、妊娠中・出産時の関わり(妊婦健診への付き添い、両親学級への参加、立会い出産の有無、入院の有無、帝王切開の有無、里帰り出産の有無など)、仕事観(17項目)、子育て観(14項目)、子ども観(20項目)、双子育児観(31項目)、夫婦関係(5項目)、子育て参加意識、父親および母親の仕事、仕事時間、残業・休日出勤の頻度、仕事調整の程度等を時系列にて調査。また、比較群として、小中一貫校の児童・生徒および大学生の単胎児の父親300名に同内容のアンケート調査を実施し、101名から回答を得た(回収率33.7%)。双生児の親の会の会員を対象としたアンケート調査では、回収率が40%近くになることが経験的に明らかとなっているが、回答者が母親の場合と異なり、今回は父親を対象とした調査であったことと東日本大震災の混乱の影響から、回収率が20.8%に留まった。今後、アンケート回収率を上げるために、さらなる工夫を重ねる。 研究成果の発表は、第8回子ども学会:2011年10月1日(土)・2日(日)於武庫川女子大学および第26回日本双生児研究学会:2012年1月28日(土)於東京大学教育学部付属中高等学校にて行った。また、協力いただいた親の会の会報誌にて結果を報告した。現在、分析を進めながら、研究論文として投稿準備を進めている。 近年、父親の育児参加の機会が増え、育児中の父親のワーク・ライフ・バランスに関心が高まっている。アンケートの自由記載欄からは、仕事と育児の両立に関する父親の苦労の声とともに、育児にかかわることで得たかけがえのない経験に関する熱い思いがあふれており、本研究の意義と重要性を再確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、全国組織である双生児の親の会の会員を対象としたアンケート調査であるため、2011年3月の東日本大震災の影響を考慮し、アンケート実施時期を当初予定していた2011年4月から9月に遅らせたが、その後はおおむね順調に進展している。アンケート実施時期の変更により、当初予定していた日本公衆衛生学会総会での発表は見合わせたが、日本子ども学会および日本双生児研究学会にて報告を行った。 双生児の親の会の会員を対象としたアンケート調査では、回収率が40%近くになることが経験的に明らかとなっているが、回答者が母親の場合と異なり、今回は父親を対象とした調査であったことや東日本大震災の影響から、回収率が20.8%に留まった。一方、データの数でみると、双生児の父親約200名、単胎児の父親約100名から回答を得ており、量的な分析の上では必要最低限の数が集まっており、大きな問題とはなっていない。今後、アンケート回収率を上げるために、さらなる工夫を重ねる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの分析で、双子の父親と単胎児の父親では、子どもが0歳の時点における育児協力の程度および仕事調整の程度に差があること、また、「子どもが3歳になるまでは、母親が育てるべき」という、いわゆる「母性神話」に反対側の意見が有意に多かったことなどの違いが明らかとなった。これらの結果をまとめ、研究論文として発表予定である。さらに、妊娠期および出産時の父親の状況やかかわり方に関しても有意な差が認められた。これらの差が、育児中の父親のワーク・ライフ・バランスにどのように影響しているのかについて検討していく予定である。 今回の調査で課題となったアンケート回収率と回答者が育児参加に積極的な父親に偏る可能性について、現段階では、双子の父親も単胎児の父親も同じ条件であるため、比較の際に大きなバイアスとなることは考えにくいが、今後、双子の父親および単胎児の父親の両群において、育児参加に協力的でない父親のアンケート調査への協力を募る必要がある。これに関しては、「育児参加が双子の父親に与える影響の調査」というよりも、「子育て中の父親のワーク・ライフ・バランスに関する調査」であることを意識してもらえるような形で協力を依頼するなどの方策を考慮している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度でアンケート調査の規模を縮小して実施したことで生じた郵送料および調査にかかる物品費における予算残およびアンケート回収率が当初の見積もりと比較して低い結果となったことによる生じた郵送料における予算残については、次年度に繰り越し、課題となっている双生児および単胎児ともに育児協力に積極的でない父親からも協力を得やすい形でアンケート調査を計画している。また、東日本大震災の影響でアンケート調査を遅らせたことによる当該年度で実施できなかった学会発表および学会参加のための旅費についても、次年度に繰り越す計画である。また、人件費についても、当該年度で予定していた業務を引き続き次年度で使用予定である。
|
Research Products
(2 results)