2012 Fiscal Year Annual Research Report
レビー小体型認知症のある高齢者の体験に基づいたケア方法の構築
Project/Area Number |
23792755
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 泰子 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (70510866)
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Keywords | 看護学 / レビー小体型認知症 / 認知症 / 体験 / 困難 / 思い / ケア / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
本研究の目的は、レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies以下DLBとする)の高齢者とその家族の体験を明らかにすることを通して、DLBの高齢者に合ったケア方法を提案することである。 本研究は、半構造化インタビューによる質的記述的研究の手法で、兵庫医療大学の倫理審査委員会の承認を受けて行った。研究対象者と期間はDLBの高齢者9名とその家族11名で、平成23年11月から平成24年の3月にデータ収集を行った。 DLBの高齢者は、DLBであることを説明され自分が病気であると自覚していた。また、DLBと自覚しているだけでなく、例えばDLBの症状が強く現れ精神科病棟に入院していた頃のことについても振り返って、その時の思いを交えながら詳細に語ることができるなどアルツハイマー型認知症とは病識や記憶に関する障害に違いがあることが明らかとなった。生活上の困難は、特にコミュニケーションと歩行機能が障害されていた。コミュニケーションでは、突然にできなくなる、できるときとできないときの差が激しいという特徴があった。家族はこのような変化に対して、受け入れようと覚悟を決めたが症状が強く現れた時は途方に暮れる、力づくで対応しなければならないときは心が痛いと語り、症状が強くでるときは手がつけられず距離をとるしかない状況があると明かした。しかし、一方では認知機能が比較的安定しるときは、DLBの高齢者自身が病気の体験を語り、希望を述べることができるため、DLBに向き合っていく方法をDLBの高齢者本人から教えてもらえる状況があることも明らかとなった。歩行障害は、パーキンソニズムによる突然に転倒するという特徴があり、生活の質の低下に直結する状況があった。DLBでは、パーキンソニズムによる身体機能の低下への看護やDLB本人の意思や希望を看護に積極的に取り入れる必要があることが明らかとなった。
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