2011 Fiscal Year Annual Research Report
手首の凹凸形状のみから手指形態の推定を可能とする次世代インタフェースの研究
Project/Area Number |
23800012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 類 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (80607416)
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Keywords | ウェアラブルセンサ / ユーザインタフェース / ヒューマンコンピュータインタラクション / 手首凹凸計測 |
Research Abstract |
本研究では人の手首に巻きつけるだけで手指の形態(グー,チョキ,パーなどの手先形状パターン)を認識・識別可能とする手首装着型デバイスに関する研究を行うことを目的とした.具体的には(1) 手先を動かす際に生じる腱の収縮を手首の凹凸変化として検出する信頼性の高い手首装着型の凹凸計測センサを開発する.(2) 手首一周の凹凸データから特徴的な形状パターンを抜き出し,手指の形態を推定するアルゴリズムを実現する.特に個人によって手首の凹凸形状変化が異なるまたは似ていることを率先的に活用し,手指の形態を推定する性能を向上させることに取り組む.これにより人の身体的な動きを操作入力として活用する次世代ゲーム等における操作インタフェースとして利用することを目指した. 本年度は高密度手首凹凸形状計測センサの開発,つまりフォトリフレクタをフレキシブル基板上に高密度に配置し,計測データをZigBee無線通信でリアルタイムに転送するセンサの開発に取り組んだ.さらに開発したセンサの性能評価のため,簡単な手指形態アルゴリズムについて試行を行った. 開発したデバイスの特徴は高密度(2.5[mm]ピッチ,2列)に手首全周に渡って変位を計測出来る点にあり,これはシフトレジスタを組み合わせることによりマルチプレクサ方式と比較して配線を省きバンド幅の縮小化に取り組みながら実現した.フォトリフレクタの各デバイス固有の特性(変位・電圧変換特性)を校正するために専用装置を用いた校正手法も確立した. 本デバイスにおける最大の技術的課題は,繰り返し屈曲するフレキシブル基板状にセンサを配置しているため,センサやコネクタの接合部の耐久性確保が困難という点にある.センサの接合方法について複数の試作を行い,実験室レベルにおいて繰り返しデータの取得が可能となるデバイスを実現することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた高密度手首凹凸形状計測センサの開発は予定通り達成された.これによって複数のユーザからのデータを取得することが可能となり,手首凹凸形状データの変化傾向を観察することが可能となった.このデータの詳細な分析により,手首の内転状態が手首凹凸形状に及ぼす影響が非常に大きいことが分かった,よってこの内転状態の影響を観察するためにデバイスを拡張する必要が発生し,予算の繰り越しによって翌年度にデバイスの拡張開発を行うこととした。 未だ研究者が観察したことのないデータを収集し分析することによって,新たな課題を明確化することは 科学的に意義の高いことであり,その意味で本年度に取り組んだ高密度手首凹凸形状計測センサの開発は,期待された成果を概ね達成したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように手首の内転が手首凹凸形状に大きな影響を与えることが分かったため,次年度では高密度手首凹凸形状計測センサに対して腕の内転への対応等の改良を行いつつ,手首凹凸データと手指形態の相関性に関する解析を行う予定である. 具体的には手の形態(例えばグー,チョキ,パー)を直接的な出力として,非線形識別を可能とする認識手法により手首形状データから得られる特徴量を流し込み学習する方法を採用することを考えている.また,同じ手指形態であっても人によって手首凹凸状態が異なることが分かっているが,これに対して以下の2つのステップでの対応する予定である:1)特徴量設計において,個人差を吸収出来るような正規化された特徴量を用いる.2)装置の利用前に簡単な校正動作(グーとパーなど)をユーザに要求することにより,校正動作データから参照する学習データの組み合わせを選定する枠組みを導入する.
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Research Products
(3 results)