2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23800019
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 直矢 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (80609842)
|
Keywords | 神経 / ニューロン / シナプス / スパイン / 樹状突起 / 回路 / イメージング / カルシウム |
Research Abstract |
本研究では、ニューロンの樹状突起におけるシナプス活動の時空間特性の解明にあたった。新規に開発した大規模スパインイメージング法を用いることにより、同時に数百個ものスパインから個別に入力の時系列パターンを観察することに成功した。以下では、申請した研究計画に従ってその成果を述べる。 1樹状突起上での個々のシナプス入力の分布 イメージング結果から各スパインでの入力頻度を算出し、スパインの空間座標との関係を検討した。座標については、細胞体からの距離および方位(尖端側-基底側)を参照し3次元的に同定された。結果として、入力頻度はスパインの空間座標に関わらず樹状突起上に一様に分布していることを明らかにした。 2同期シナプス入力の空間分布 同期入力の空間分布については、これまで「クラスター型」と「分散型」の2つの仮説が提唱され議論が分かれていた。そこで本研究では、同時に活動したスパインの空間配置を解析した。その結果、8μm以内の近傍のスパインがより高い頻度で同期入力を受けていることを見出した。これは先の「クラスター型」を支持する結果であり、これまでの議論について明確な解答を得ることができた。本研究ではさらに、このクラスター入力の形成にはNMDA受容体の活性化が関与していることを明らかにした。この結果については、従来の局所可塑性モデルに基づいたクラスター入力の形成機構を提唱するに至っている。 3ニューロン種間での時空間特性の違い 同様の検討を抑制性ニューロンであるparvalbumin陽性細胞についても行った。驚くべきことに、それらのニューロンでは同期入力の空間特性は「分散型」であった。これよりシナプス入力の時空間特性はニューロン種特異的であることがわかった。 以上の成果は、論文としてまとめられScience誌に掲載されることが決定している(2011年12月時点でin press。本研究の重要性が大いに評価されたものと考えている。
|
Research Products
(2 results)